第4話 礼服と制服

文字数 736文字

やあご両人、順調かい?
フィリオ長官!
ちょっと…長官はまだ本編で背後関係が全く明らかになっていないのに、こんなところへ出張ってていいんですか…
その点は作者にもよく言っておくよ。しかし宮中の服飾文化を紹介するのに、私ほど適役もいないだろう?
最近は日本でもオスマン帝国に関する展示会や美術展が増えてきて、カフタンはよく知られるようになりましたね。
そうだね。“カフタン“は本来、上着全般を指す呼称だったんだが、特に王や高級官吏が儀礼の場で纏ったものは、繊細かつ壮麗な刺繍のデザインが特徴的だ。
構造的には実は二重なんだ。イチ・カフタンは無地で襟無し、細い長袖で、装飾的で幅広なドゥシュ・カフタンを上から羽織ると、イチ・カフタンの袖と裾が見えるようになっている。
ドゥシュ・カフタンにはさまざまなスタイルが有る。丈が短めのものはフルカ、長い振袖と裾丈のものはヒラットと呼ばれる。領巾のように補助袖を垂らしたものもあり、式典ではこの補助袖に接吻する。参事がときどきもの凄い仏頂面で着ているあれだ。
あの人ほど愛想笑いを安売りしない人も貴重だよ。自分の見た目を最大限活用する方法を知っているんだ。怖い怖い。
参事をはじめとして、俺たちサライの官吏は、普段制服を着ていた、んですか?
作者はそう思っている。上の絵でも忙しく立ち回っている男性たちは同じような深緑の衣服(ドラマ)を着ているだろう?よく知られたデヴシルメ(徴用制度)のこの絵でも新採用者は皆紅い服を着ている。
初めの絵で描かれている緑の服の男性たちは恐らく”書記官”なので、”財務官”の制服は青のドラマだといいな、というのが作者の妄想らしいです。
次回はデヴシルメの説明をもう少し。もっとも十八世紀には、大分制度が変わってきていたのだがね。
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