第2話 風呂吹き談義

文字数 761文字

給水設備といえば、コンスタンティニエの街には公衆浴場(ハマム)がありました。
基本的にはスチーム・バス(サウナ)です。垢擦りや洗髪をお願いすることもできます。上にひらひらと掲げられているのがハマム・タオルで、身体に纏って使います。礼拝日前の木曜日や、祝日に混みますね。
私はもっぱらハレム(後宮)のハマムを使っているけれど、街のハマムも楽しそうだな。マリー・アントワネットが、オーストリアから嫁ぎ先のフランスに、沐浴の習慣を持ち込んだというのは本当なの?
そもそも当時は衛生に対する考え方が違いますからね。オスマン帝国住民にとって“清潔は神の意思“ですから。
単に風呂好きなのでは…?ハマムは住民の社交の場みたいなところもあっただろうし。まあでも、疫病の防止に公衆衛生の維持は欠かせないからな。虫歯も重症化すると命の危険に曝されるぞ。
石鹸は既に商業化されていました。マルセイユの高級石鹸は有名で、帝国でも輸入していたのではないかと思います。十八世紀末になると人工的に炭酸ソーダ(アルカリ剤)をつくる方法が確立されて、大量生産が始まります。
歯ブラシの原型みたいなものも、フランスで十七世紀頃作られた。一方パリの悪環境ぶりは改善しない。水資源が少ないことも、水質汚染も問題だったが、行政の指導者が目まぐるしく変わったことも原因なんだろうな…
そうですね。上水・下水の改良事業は何度も行われてきましたが、本格的な都市改造計画は、十九世紀半ばにナポレオン三世の号令の下、やっと実現したようです。
いわゆる都市問題だよな。ヨーロッパでは産業革命が進んで、人口集中と貧富の格差が広がると、却って状況は悪くなった。
作者はとにかく恋愛シーンを考える前に、当時の不衛生さを想像してヘタれるので(どういう意味です、R15!)、二回目からこんな話題ですよ…
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