(1)
文字数 1,344文字
「困ったねえ……レプタリアンが多そうな国の軍隊ほど、ネット上での人気は上々やし……」
「あの、スーちゃん……」
「『正義の味方』を 商売にするにしても、誰を 悪者 に仕立て上げるかは……じっくりと考えんといかんねぇ……」
「だから、スーちゃん」
「ん? どうしたとね?」
「スーちゃん、あたしのスマホ、勝手に使わないで。あと、その手で、どうやってスマホ使ってんの?」
「どうやってと言われても……」
「その爪でスマホの画面に傷とか付けないでよね」
「大丈夫、今、ウチは実体化しとらんけん。あんたに見えとる姿は霊体みたいなもの たい」
「だから、霊体みたな状態で、どうやってスマホ使ってんだよ?」
「見ての通りたい」
駄目だ、こりゃ。
どうやら、あたしは既に、スーちゃんが始めようとしている「『正義の味方』と称する爬虫類人間大虐殺」の「商売」に巻き込まれてるようだ。
「お〜い、優希、住み込みのバイトさん達の 晩飯を 運ぶとば手伝ってくれんか〜?」
その時、お父さんの声。
「は〜い」
そう返事して、部屋を出て、台所へ行ってみたものの……。
「な……なに、これ?」
「バイトさん達は肉が主食やけん。屠殺場で出た余りたい」
そこに有ったのは……縦に割られた牛骨の山。
「あ、今日、新しく入ったバイトさんは、何じゃったっけ? 最近流行りのベヂ……えっと……」
「草食……」
「あのなぁ、お前、折角、牧場の仕事を 手伝ってくれとる人を そんな 言い方すっとは……」
「でも、主義主張で肉を食べないんじゃなくて、肉を消化出来ないんだよね? それは、ベジタリアンじゃなくて草食」
「そんなもの か……よう判らんが……。まぁ、新入りさんは牛と一緒に牧草を 食っとるけん」
外に出ると、ベトナム人技能実習生に代って、ウチの……と言うか、どうやら、この辺り一帯の牧場の従業員と化したヴェロキラプトル達がバーベキューの用意をしていて……。
そして、次々と……牛骨を焼き網の上に置き……。
「そっか……こんな 食べ方が有ったとか……」
加熱された骨髄からは、いい臭い……。
おいしそうなのだ。
ガジくんも食べたいのだ。
一本だけ分けて欲しいの……。
「うわああああああッ‼」
変身してないのに、あのトボケた顔の恐竜に意識を支配されかけ……。
ん?
何か、様子がおかしい。
お父さんもヴェロキラプトル達も……あたしの方と別の方向を交互に見ている。
どうやら……あたしが急に叫びをあげたのは、別の理由だと……何だ、あれ?
のそり……。
軽自動車ぐらいの大きさのモノが近付いてくる。
「あんたが……ここの牧場の娘さんか?」
「は……はい……」
それは……。
い……今さらだけど……人間の言葉を話せる恐竜はスーちゃん以外にも居たのか?
「俺様の名前は……『超怖い、びっくりするほど強い、すごく凶暴なシノケラトプス』」
いや、それ名前じゃないと思う。
「略して『ちびすけ』だ」
あ……あの……軽自動車ぐらい有るのに……「ちびすけ」って……。それと、かなり強引な略だ……。
「駄目元で訊くが……俺様はある恐竜を探している」
「へっ?」
「豹柄に赤いタテガミのティラノサウスルの女だ。名前はスー」
おいッ‼ 待てッ‼
「優希、どっかで見た事 、無かか?」
お父さんの呑気な声が……あたしの混乱に拍車をかけた。
「あの、スーちゃん……」
「『正義の味方』
「だから、スーちゃん」
「ん? どうしたとね?」
「スーちゃん、あたしのスマホ、勝手に使わないで。あと、その手で、どうやってスマホ使ってんの?」
「どうやってと言われても……」
「その爪でスマホの画面に傷とか付けないでよね」
「大丈夫、今、ウチは実体化しとらんけん。あんたに見えとる姿は霊体みたいな
「だから、霊体みたな状態で、どうやってスマホ使ってんだよ?」
「見ての通りたい」
駄目だ、こりゃ。
どうやら、あたしは既に、スーちゃんが始めようとしている「『正義の味方』と称する爬虫類人間大虐殺」の「商売」に巻き込まれてるようだ。
「お〜い、優希、住み込みのバイトさん達
その時、お父さんの声。
「は〜い」
そう返事して、部屋を出て、台所へ行ってみたものの……。
「な……なに、これ?」
「バイトさん達は肉が主食やけん。屠殺場で出た余りたい」
そこに有ったのは……縦に割られた牛骨の山。
「あ、今日、新しく入ったバイトさんは、何じゃったっけ? 最近流行りのベヂ……えっと……」
「草食……」
「あのなぁ、お前、折角、牧場の仕事
「でも、主義主張で肉を食べないんじゃなくて、肉を消化出来ないんだよね? それは、ベジタリアンじゃなくて草食」
「そんな
外に出ると、ベトナム人技能実習生に代って、ウチの……と言うか、どうやら、この辺り一帯の牧場の従業員と化したヴェロキラプトル達がバーベキューの用意をしていて……。
そして、次々と……牛骨を焼き網の上に置き……。
「そっか……
加熱された骨髄からは、いい臭い……。
おいしそうなのだ。
ガジくんも食べたいのだ。
一本だけ分けて欲しいの……。
「うわああああああッ‼」
変身してないのに、あのトボケた顔の恐竜に意識を支配されかけ……。
ん?
何か、様子がおかしい。
お父さんもヴェロキラプトル達も……あたしの方と別の方向を交互に見ている。
どうやら……あたしが急に叫びをあげたのは、別の理由だと……何だ、あれ?
のそり……。
軽自動車ぐらいの大きさのモノが近付いてくる。
「あんたが……ここの牧場の娘さんか?」
「は……はい……」
それは……。
い……今さらだけど……人間の言葉を話せる恐竜はスーちゃん以外にも居たのか?
「俺様の名前は……『超怖い、びっくりするほど強い、すごく凶暴なシノケラトプス』」
いや、それ名前じゃないと思う。
「略して『ちびすけ』だ」
あ……あの……軽自動車ぐらい有るのに……「ちびすけ」って……。それと、かなり強引な略だ……。
「駄目元で訊くが……俺様はある恐竜を探している」
「へっ?」
「豹柄に赤いタテガミのティラノサウスルの女だ。名前はスー」
おいッ‼ 待てッ‼
「優希、どっかで見た
お父さんの呑気な声が……あたしの混乱に拍車をかけた。