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文字数 1,112文字

 ところで、ここ、どこなのだ?
 おい、阿呆恐竜、いつの間に、あたしの体を乗っ取った?
 人間さんが、何か、速く走りたがってたので、変身したのだ。
 余計な御世話だッ‼
 でも、理由はよくわかんないけど、あの時、人間さんは、あの場所から逃げ出したがっていたのだ。
 まぁ……たしかに……。
 ところで、お(なか)すいたのだ。ガジくんは、食いしん坊なのだ。
 もう()だ、助けて。
 何から助けて欲しいか、ガジくんには、よくわかんないのだ。でも、1つだけわかってる事が有るのだ。この辺りには、助けてくれそうな人間さんも恐竜さんも居ないのだ。
 くそ……。
 あ……お肉の匂いなのだ。すごく、いい香りなのだ。
 おい、お肉の匂いって……これ……焼肉の匂いだぞ……。何で、こんな所から焼肉の匂いが……?
 ともかく行ってみるのだ。お(なか)がすいてるのだ。
 何か変だぞ。行くな行くな行くな。
 でも、このままでは、お(なか)がすいたままなのだ。
 え? ここ……キャンプ場? って……あ〜駄目ッ‼
 お肉、見付けたのだ。食べるのだ。
 おい、これ、どう考えても、キャンプに来てる人が焼いてる肉……。
 その人間さんには、後でごめんなさいすればいいのだ。ガジくんは、お(なか)がすいて仕方ないのだ。
 だから……やめろって……。
 がじがじがじ。むしゃむしゃむしゃ。
 ああ……あ……やっちゃった。
「ぎゃお〜ッ‼」
 その時、怒りの咆哮と共に……あたしの首筋に何かが噛み付き……。
 鳥? いや……翼っぽいモノは有るけど……飛べるようには見えない。
 それに、鳥にしては……足がやたらと太い。
 しかもデカい。ガジくんよりは小さいけど……人間が襲われたら……。
 そうだ……鳥のように……薄水色のニワトリのヒヨコみたいに見えるけど……図体はデカくて、口の中には牙が何本も有る。
 幸か不幸か、ガジくんの皮膚がやたらと頑丈なんで傷は付かなかったけど……。
 あ、そっか、人間さんのお肉じゃなくて、キミのお肉だったのか、なのだ。
 ごめんなさい、なのだ。
 ゴドォッ‼
 けど……その……鳥の雛みたいだけど鳥の雛じゃないナニかは……牙が通じないと判ったらしく、今度は体当り。
 何か、ややこしい事になった。逃げよう。
 と思ったら、また、体当り。
 更に体当り。
 逃げても体当り。
 ガジくん、悲しいのだ。友達を怒らせてしまったのだ。
 おい、知ってる相手か?
 ガジくんの友達なのだ。まだ、子供だから、姿がちょっと違うけど、ガジくんやスーお姉ちゃんの仲間なのだ。
 えっ?
 あの子は……ガジくんの友達の「凶暴6姉弟」の1恐竜(ひとり)のアサギちゃんなのだ。
 え?
 6姉弟って何? 他にも居るの?
 と思った途端に、両脇腹に何かが同時に激突し……。
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