(7)

文字数 576文字

「なあ……ガジくん……ウチって乱暴者やろか? 恐くて凶暴な嫌われ者やろか?」
 やめろ……恐竜同士の意味不明なデートに突き合されるあたしの身にもなってみろ。
「そんな事ないのだ。ガジくんにとって世界一優しい恐竜(ひと)は、お姉ちゃんなのだ」
 だから、やめろ。
「う……そう言って(ゆ〜て)くれんのは、ガジくんだけたい」
「そんな事ないのだ。みんな、スーお姉ちゃんが優しい恐竜(ひと)だと判っているのだ」
 夕暮れ時の草原で仲良く座ってる恐竜2匹。
 なごやかで微笑ましいその光景は……あたしの正気をガリガリと削っていった。
 たのむ……体……返して……。もう……こんな狂気から、あたしを解放して……。
「ガジくん……」
 スーちゃんは、そう言って、ガジくんとか言う恐竜と化した私に……首筋を差し出し……。
 やめろ。
 やめろ……。
 たすけて……。
 あたしは、まだ、人間のままでいたいんだ。
 あたしの体を使って人間には理解不能なイチャイチャはやめろ。
 がじっ♥
 がじっ♥
 がじっ♥
 やめろ〜ッ‼
「にゃおっ♥」
 世にも凶暴そうな顔の恐竜が、もう1匹の恐竜にガジガジされながら、頭をナデナデされた子猫みたいな声を出してる。
 子供のヌイグルミ遊びを更に数万倍にスケールアップしたような光景が繰り広げられる中……あたしの心は……ゆっくりと……けど……
 着じ

 に一夕
   匕んて
゛い 
  っ
       た
ワンクリックで応援できます。
(ログインが必要です)

登場人物紹介

登場人物はありません

ビューワー設定

文字サイズ
  • 特大
背景色
  • 生成り
  • 水色
フォント
  • 明朝
  • ゴシック
組み方向
  • 横組み
  • 縦組み