それは消えていった

文字数 349文字

失われた季節は
落ちていった雨をぼんやりと眺めて
ただ、平穏を願っていたばかりに
ナイフが飛んでくる
忘れていた感覚が弾けだして、
遠くの空を輝かせる
沈んでいった万華鏡
無くした思いは宇宙の
静寂に包まれて
ひび割れているから、
もはや、あえて好意的に
ただ草臥れていく、落ちていく
その中に残したものは、
描いていたものだったの?
輪郭は移ろう
例えば、それは夏の光景
透き通っていく落ち葉に包まれて、
選んだのは、もうじき破裂しかけた
砕かれた林檎の木が並ぶ
奇妙に回る空間の中に鉄の味
いつか描いたものは、
寂しさが鳴り始める
鼓動はまだ続いている
不思議な螺旋を描いて、
今日も扉を叩き続けるのは、
長い沈黙の中で
もう、全てが終わり、
その中に溶けていく
想像上の世界を
辿っていく無機質な
遠くの空
今でも下に流れていく
だから、僕は伝えようと思う
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