感覚の肥大

文字数 440文字

伸びていった。下に降りていくのは、拡大による執着で
ただ忘れた感覚が持続していく
その日は雨だった
気候は変化して
冷たい風が吹いていた
ただ伸びていく影が
心を刺していく
未だに残った静寂によれば
地続きの雨がぼんやりと浮かぶ
それは感覚に苛まれた過敏な移ろいで、
もう忘れ去った物語だった
僕は歩き出した。形はぼやけていく
信号は止まらないで続いていく
先にあるのは光の渦で、
沈黙の中に揺れていった
未完成なものは特別な思考の
あの本を思い出すことしかない
僕は暗い道の中を区別していた
だからかもしれないが、
迫害の声は止むことがなかった
過ぎてしまえば朧気な魔法にかかって
それを手にしようと歩いていた
未だに変わらない感覚に落ち込んで
ただ通り過ぎていく
それは自動販売機の菱形の羅列で、時空が伸びていく夜の星のこと。続いていたのは幻の肌に変わるものだった。
通りを通過する光に
もう死の匂いが止まない
ただ連なっていくのは形の
ぼんやりとした雰囲気だった
だからかもしれないが、
もうじき終わろうとしている
それがなかったことだ

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