季節の移ろい

文字数 702文字

デスクに散らばった文字列は喧騒の瞳を映し
束になってやってくる画面の信号に
紛れているから疲弊した感覚は憂鬱だった
「どうしてそれらがあるのか、疑念は止まず、立ち止まる鳥も同じ定めとなって、宙を舞うのか?」
過ぎてみれば輪郭が浮かび、その中を走って逃避していく。止まない雨が窓の外に喫煙室の煙に満ちて、零れていく。
探していたのは静寂の中に草臥れた、静電気の渦を探して
何もできずに、立ち止まれば、彼の顔が、空間を覆っていく
着ているシャツに滲むのは、時期に消えていって、
終業の時間、同僚たちの消えかかった影に
恐怖は打ち続いて、会釈をするのも忘れて、
音が苛み続けるのは神経の疲弊による
「流れていくのは、可能性の湖だけど、どうして、そこから分岐していくのか、理由はわからない」
ただ鳴り続いた感覚に、今日もビルを降りて、空が現れた
あの日、見ていたのは仮想だったから、
現実に存在するのは準備期間の裏付けだった
歩き出す人混みに紛れて、浮かぶ白い月が
秋の風に夜が揺れて、もう一度、腐乱する窓
蜃気楼に紛れて、遠くを呼び込む、迷いの線路
「懐かしかったのは幻覚だが、それでも先にあるのは、虚無だった」
電車の窓から、映る、無機質が、色を帯びているから
無関係に並んでいるけど、それも悪くない
どうせ、過ぎてみれば貯め込んだ思考も
限定された枠も朽ちていく
蘇る鳥たちの鳴き声は街灯が照らす夜だ
車の音が迫りくる焦燥感に導かれた憂鬱に残って
進んでいく翼はもう帰ろうとしていた
「それは輪郭を尋ねて、幸運の透明が、それでも苦痛に混ざり合えば、落ちていった枯れ葉をその時、そうやって見ていた」
だから時間は進んでいき、
枯れ果てた季節がもうじき終わりを告げる

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