夜の海

文字数 470文字

砂浜から遠くの海に、願う死の輪郭は
犬を連れた老人の影に、微睡む、太陽の光
草臥れた、疲弊した体を通して、
映る微かな予感
恋、仕事、暮らし……
あの日、バスに乗って見た、流れていく風景に
閉ざされた感覚が滲んで、
憂鬱な午後だったが、緑の葉を風が揺らした
彼は、微笑んでいたが、僕はそこにいない
空間の中を共有したが、結局知らないままに
帰り際の、さようなら
水平線の奥に、人々が繰り返して、
薄っすらと消えていく
その中に連なっていく
暮らしは、穏やかな、価値の中に
過ごしていた、無感覚な日常で、
ただ平穏なわけでもなく、
淡く刺していく、ことも忘れて願う
月が夜の空に浮かんで、放っている光に
秩序について、考えながら、
砂の感触が伝わってくる
いずれ、過ぎていくだろう、記憶の中には
不確かな幻が浮かんでは消えて、
結局、それ自身に収束していくわけでもなく
雲の色について思いを馳せながら
まだ人々が続いていくのも、原子の存在なのか
気が付けば、暗闇の中
不気味な海の表面に少し怯えて
街灯の照らす道を歩く、孤独の中に
もはや、それすらもわからずに
僅かな不安や寂しさの中に
まだ思いを馳せる
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