静寂

文字数 323文字

祭りの声、響く夜
境内の石畳に、姿現す
私は、願った、終わりと再会
そして、手を握る、夕闇の中
もうじき、夜がやってくる
手の温かさは、もうじき別れの
悲しみを纏い、時間が過ぎる
空に瞬く星の粒
いつか願った閃光に包まれて
夏の夜の風を進む
「誰だったの?」
「知らない人だった」
「亡くなったの?」
「そうみたいだよ」
過ぎていく時間の中で、
部屋の中に告げた
飛び出してみれば
臨界点を超える作業に
打ち込んでいたから
ずっと忘れていた
「寂しくはない?」
「別に変らない」
「覚えていてくれる?」
「忘れないよ」
それでも時間がやってきて、
私を連れていこうと
試みるのは静寂だった
それはいつでもそこにいて
時々、やってきた
花火の音が聞こえる
もうそこには誰もいない
空欄だけが、
じっと空を見ていた

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