変容の法則

文字数 397文字

砕けた感覚が、消えて、不思議な酔い
ワインは静かに溶かしていく
机の上の未回答の書類
眺めていた気がする
歩くスピードは、穏やかになり、
ベランダで月を眺めて、
グラスが揺れる
「知らねえよ」
どこかへ消えた言葉は、
地続きのアスファルトの、
小さな歪に、紛れていく
「わからない」
いったい、これは何か、
導いていく時計の針に、
憂鬱が紛れて、ぼんやりと消失する
あの世界、不思議な、
そして幻惑の暗闇に、
蝋燭の火が灯り、
「進んでいるんだろ?」
どこかへ連れていく、音響に、引き伸ばされて、
「せいぜい、楽しむことにするよ」
失われた風景は、
幻覚のように、惹きつけてやまない
「どうせ、やってくる。賭けているんだ」
全てが変容する世界の中で、
まどろむ、不思議な物体
選び出すのは、良心的な飛行によって、
輝く白い影が、
亡霊のように浮かぶ
そっと共にすることもなかった
「わからないけど、ただ伸びていく」
僕らは奇妙な掃除機になって、
続いていった

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