夜の光

文字数 503文字

流れていく雲に点線の光が迷う
落ち着いた響きにあなたが移ろう
「忘れていたんだ。思い出すこともなかった」
日が沈んでいく
田園風景の中に面影を探した
「なんだか微妙な気持ちだった。だってそれしかないから……」
進んでみれば、形は曖昧で、
それでも太陽は平等に光を照らす
「平等。それはいったい何だったのだろう。そこにいたのは、形だった。忘れていた」
霧が立ち込めて、
歯車が奇妙に回り出す
「いつだって何かを求めていた。忘却したのは、記憶の彼方だった」
励起した光に満ちて、
底を進み続ける
恋愛は構築された果物だったようだ
「窪んだ茂みに紛れて、傷跡は癒えないから。逃避行は続く」
流れていく夕日は時期に消え、
紫色の世界に陥る
忘れかけた沈黙の中に、
浮かんだ星たちの瞬き
気が付くと、星が夜に紛れていた
「あれは知らないもの。だから、進み続けるのは一本の閉鎖された道だった。もはや形が何かも紛れていく」
昼の死は降り注ぐ
月の光が照らす畦道を
田んぼの稲が静かに揺れる
「いつだったか忘れていたものを戻そうとした」
あなたの姿が脳裏に浮かび
ウイスキーがグラスの中に注がれる
(消え去ったのは感覚だった)
思い出せば、夏が過ぎていく
次第に大気は冷たさを増した

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