喧騒

文字数 467文字

公園を通り過ぎる影に窪んで、
子供たちの声が重なる十月に
「ただ連なっていた。仮想かわからずに」
夕日が照らす信号の経過
進みだす群れは、なくした記憶を
鮮やかに拭い去っていくように
「ただ疲弊していたから、珊瑚に似せて、伸びていこうとしていたけれど、結局できなかった」
遊びは夢遊病に変わる
様々な傷が内包されているから、
砂場遊びは沈黙で退屈だった
誰かが声を掛けて
その静寂の中に俯いた女性の影
「なんでそこに広がっていったの? 本当は別の姿があったんでしょ?」
通り過ぎる人々の無意識が、
穏やかな視線に変わり始める
ある人が言っていたのは、
「落ち込んでいるのが絵画だった。だけれど、それすらもあるべき姿だと言うのか?」
芝生は無関係に咲いている
なくした影を探していたのは、
虚無の中に降りていくから、
ただ先へと向かうしかない
「病的な集合は満ち満ちた影に、吸い寄せられて、飛んでいった。今でもきっと探しているよ」
チャイムが鳴ると、
帰り支度を始めて
彼らは表面的に帰って行った
さよならは告げずに、
暗くなり始める路地が
無機質に続いているので、
もう終わったことだった 
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