文字数 499文字

山道は遠くまで続いているはずだが
薄暗い景色の中に、あるのは木々の枝と葉ばかりで
懐中電灯を取り出して、光を照らす
どこに行くのかすらわからず
どうしてここに来たのかさえわからない
ただ山道を先へと進んでいく
地図は正しいのか、今となっては確認する方法はない
懐中電灯が消えれば、僕は山の中に一人取り残される
その時、何を思うのだろう
今まで抱いてきたものは、
自らの死と共に消失するのだろうか
疲れていた
心の中はわけがわからなくなっていた
照らした先に淡い光が見える
妖精のようだった
いよいよ混乱し尽して、目の前に幻覚が浮かび始めた
僕は全てを諦め、妖精のいる方へ歩き始めた
空には星が輝いている
風が吹くと草木が揺れる音がする
妖精は淡い光を放ち先へ進んでいく
気分は悪くなかった
次第に鬱屈した思いが消えていく
妖精の淡い光は僕を溶かしていくようだ
時間がわからなくなるまで歩き続けた
妖精が消えると、
僕は道に出ていた
アスファルトの地面を街灯が照らしている
妖精は消失していた
今まで見てきたものはなんだったのだろう
理由もわからないまま、
僕はどうやら助かったようだった
アスファルトの道を歩いていくと
朝日が差し込み始めて
青い世界が広がっていた
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