紅葉

文字数 378文字

紅葉の道、続いていく十一月
あれはどこの山の色か
切なく揺れるあなたの面影
一度は沈み込んだ大地の雨に
草臥れた感覚は疲弊だった
歩き出す、集団に紛れて
その中で、居心地の悪さに俯く
視線が上下に漂う
進んでいくのは鳥たちの声の移ろい
山の稜線が空を分断している
数ある中で、それだけが分散して
淡い不安すら消えていく
透明な檻のように
無かったことに帰結しようとしている
空腹の影に、座った和菓子屋で
食べた餅の味に
あなたの輪郭が霧散していく
どうしてここにいるのか
疑問符が続いているのに
悲しみは涙に溶けて
山道をもう一度、歩き始める
日が暮れる頃、
オレンジ色の世界に包まれて
ホテルともお別れの時期
北から来た風に
喉が塗れていくから
切なさが持続していた
今宵も、終焉に近づいている時間
あなたは先へと歩いていくから
僕は付いていく
沈黙の時間が溶かした愛着に
懐かしい音符が空を舞っているかのようだった


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