幕間 ループ破壊のその後は……?
文字数 3,762文字
「ついにその時が来たぞ。10、9、8……」
目覚まし時計の秒針の動きを見ながら、ルパートが真剣な顔つきでカウントダウンを始めた。
二匹のウサギが文字盤を抱いたデザインの時計、あれは故郷から持ってきた私物だ。と言うより今居るここが私の部屋なのである。
「7、6、5……」
見守るみんなの顔も大真面目だ。冒険者ギルド二階に在る私の部屋に七名もの人間が集結している。床抜けないかな。
「4、3、2……」
どうして私の部屋が集合場所に選ばれたのか。それはお調子者のマキアが「どうせ集まるなら女のコの部屋がいい」と言い出し、他の男達が誰も反対しなかったからだ。
「1、ゼロ!」
ゴクリと誰かが唾を呑み込む音が聞こえ、それから数秒間の沈黙。深緑の月22日、0時を迎えた瞬間だった。
「たった今……日付が変わった。マキア、身体は燃えていないな?」
「大丈夫です!」
ルパートに名指しされたマキアは力強く返事した。
「エン、腕や脚が一本足りないとかないか?」
「四肢とも揃っています」
「他のみんなも大丈夫だな? 心臓が痛いとか内臓が飛び出したとか、死に繋がる症状は出ていないな?」
ルパートの念押しに、全員で頷いた。
「……と、いうことは……」
彼の次の言葉を待った。
「俺達は全員で無事、十一日目に突入した! 時間のループを打ち破ったぞ!!!!」
ルパートが振り上げた拳に合わせて、ウォー!! と男達から歓声が上がった。そしてマキアが隠し持っていたパーティ用クラッカーをパンと鳴らした。私の部屋に舞う色とりどりのテープ。こらー、誰が掃除すると思ってんの!
ドン!
隣りの部屋から壁を強く叩かれた。キースが持参した折り畳みイスの上でマキアが身体を縮めた。そりゃ深夜に騒げば壁ドンされるよね。
「無粋な。隣に居るのは誰だ」
ベッドの上で脚を組んで座るアルクナイトが偉そうにお隣さんを非難した。悪いのは深夜に騒いでいるこっちの方だからね。
「出動班の若いのですよ」
「出動班と言うとあの山賊か? ああ見えて意外と若いのか?」
「いや、セスの旦那は所帯持ちなんで夜は家に帰ってます」
山賊というキーワードですぐセスに繋がった。
「ここは独身寮ですから」
「おまえ達以外にも出動班メンバーが居たのか?」
「ええ三人。それでも人手は全然足りないですけどね。あと薬師のマーカス先生、それと事務の女性も一人寮に入ってます。名前は……」
「いやいい。どうせモブキャストだろう」
魔王様ったら酷い。青年になっても中身は成長しないのね。
ちなみに私と結婚するとか言い出したもんだから、アルクナイトは左右をエリアスとルパートに固められ、私への接近を禁じられている。自室なのに男達にベッドを奪われた私は、キースの隣でイスに座っていた。いつでもすぐに障壁魔法で護ってもらえるように。
(それにしても……)
まさかアルクナイトにまでプロポーズされるとは。一方的に「結婚する」と言い放ったのは、いかにも唯我独尊な彼らしい。
そんな自分勝手な告白でも、やっぱり意識はしちゃうのである。
少年だった彼なら「あらあら背伸びしちゃって」とか笑い話にできるのだが、今のアルクナイトは大人の男性だ。
理知的で、逞しく、お腹と下乳が露出している。
(下乳……)
うん、無いな。私は恋愛対象から魔王を除外した。
「でも、本当に良かったです。みんな無事で」
キースが穏やかに微笑んだ。ウェーイウェーイ騒いだり、性欲にギラついたりしない彼と居るとホッとする。
私は男女交際を望んでいるくせに、肝心なところで臆病になっちゃうからなぁ。キースみたいな人と、ゆっくり愛を育んでいけたら幸せだろうな。
(……わぁ! 何考えてんの私!)
キースと結婚したエンディングも有ったとアルクナイトは言っていた。そのルートを辿った私は、今のようなことを考えたのだろうか?
「ロックウィーナ、どうかしたのか?」
おそらく百面相をしてしまっていた私へ、エリアスが優しく声を掛けた。いつもならキスしそうなくらい顔を接近させてくる彼だが、今日は魔王の見張りでベッドから離れられないでいた。良いのか悪いのか。
キースとの恋愛ルートを考えていたなんて言えないので、適当に誤魔化した。
「いや、今後のことを考えててっ……。明日、じゃなくて今日からですね。時間のループは壊したしギルドへの依頼もこなした訳ですが、これからみんなはどうなるのかなって」
ルパートが肩を竦 めた。
「ま、俺達は通常業務に戻るだけだろうな」
「ですね」
「マキアとエンはレクセン支部へ帰るのか?」
「……そうなると思います。俺としてはもう少しフィースノーに居て、皆さんと交流を深めたいのですが」
マキアが寂しそうに言い、エンも同調した。
「……俺もです。ここには腕の立つ方がたくさん居ますから」
せっかく友達になれたのに、お別れするのは悲しいな。自分で振った話題なのにしんみりしてしまった。
「エリアスさんと魔王様は?」
「人手不足なんだろう? もうしばらくギルドの仕事に協力しよう」
「感謝しろ庶民」
賑やかなこの二人とはまだ共同生活が送れそうだ。素直に嬉しい。アルクナイトは自室を思いっきり改造してしまっているしね、長く居てもらわなくちゃ困る。
「え、いいなー! 俺達も残りたい!!」
ついマキアが大声を出してしまったところで、再び壁がドン! と叩かれた。
「若いのと言うからには、小娘の後輩だろう。先輩の部屋を壁ドンするとはいい度胸だな」
「ここしばらく、俺達はギルドの通常任務から外れていましたからね。穴を埋めてくれた連中は大変だったはずです。ヘトヘトに疲れて眠っていたところを起こされて、もう勘弁してくれって心境でしょう」
エリアスとの一週間のミッション。アンダー・ドラゴンのアジト捜索。そして今日は有給休暇。出動班を束ねる主任のルパートがほぼ居なかった状態だ。ベテランのセスが残っていたとはいえ、出動班はそりゃ大変だったよね。感謝しないと。
「今夜はもうお開きだな」
「明日、明日こそ達成パーティをしましょうね!」
「流石に即日レクセンに帰って来いとは言われないだろうから、明日の夕飯時に軽く飲みましょう」
ヒソヒソと打ち合わせをしてから、マキアとエンがまず私の部屋から出ていった。
「さ、残った皆さん。折り畳みイスを僕の部屋まで運んで下さい」
「ここに置いとけばいいじゃん。どうせまた、みんなしてウィーの部屋へ来たがるだろうから」
「だな」
「小娘の部屋が皆の基地になるのか」
させねーよ。
「いけません。今夜が特別だったんです。皆さん、今後は夜に彼女の部屋に来てはいけませんよ? 男の出入りが激しいなんて噂が立ったら、ロックウィーナの醜聞になってしまうのですよ?」
私の代わりにキッパリ言ってくれたキースに感謝した。男連中は不満のようだったが、キースの魅了が怖いエリアスとルパートは渋々イスを手に持った。
「は、付き合ってる男女なら文句はあるまい!」
対して下乳とおへそを出した魔王は強気だった。
「ええ、交際中の男女なら僕に口を出す権利は有りません」
「なら今すぐ引け白。俺と小娘は熱愛中だ」
「いつから!?」
驚いた私へアルクナイトは距離を詰めた。
「人類の敵である魔王を愛し、世界から祝福を受けられなくても、俺の傍に居ると誓ったのはおまえだろう?」
「それってあなたとの結婚エンディング? 今とは違う時間軸だから! その私は私であって私じゃないから!!」
「おまえはおまえだ。俺を愛した記憶も感情も、おまえの中に確かに存在するんだ。すぐに思い出させてやる」
後退した私は壁とアルクナイトに挟まれた。彼は私が逃げられないように両手を壁に付いた。さっきとは違う意味の壁ドンだ。
ひゃああ。上半身ほぼ裸の男性が至近距離に居るよぉぉ。
「アル、やめろ」
「魔王様、ウィーを放して」
エリアスとルパートが伸ばした腕は、アルクナイトが常時発生させるバリアに弾かれた。
アルクナイトは私から視線を外さない。その真剣な眼差しに私は既視感を抱く。以前にもこうやって見つめられたことが有ったんだと。
「いけません」
キースの手がアルクナイトの顔の前までそっと伸び、手の平で彼の視線を遮った。
「……白。何故おまえは弾かれない?」
邪魔をされたアルクナイトだったが、その口調は静かだった。
「自動防御障壁は、術者の身の危険を察知して発動します。あなたに対して敵意を持たない者に対しては無効です。今の怯えるだけのロックウィーナのように」
そうか。エリアスとルパートは、アルクナイトの行いに怒ったか嫉妬したから弾かれたんだ。
「白、おまえは腹が立たないのか? 小娘に迫っている俺に対して」
「あなたへの怒りより、怖がっているロックウィーナを護りたいという気持ちが強いです」
「ふ」
アルクナイトは壁に付けていた手を放した。解放された私は反射的にキースの背中へ隠れた。
「小娘にとって、白は絶対的な安全地帯か」
そうかもしれない。
「白、おまえはずっと小娘の期待を裏切らずにいられるかな?」
「……どういう意味でしょう?」
眉を顰 めたキースにそれ以上は語らず、アルクナイトは挑発的な笑顔を向けてから私の部屋を出ていった。
小脇に折り畳みイスを抱えて。そこは律儀な魔王様だった。
目覚まし時計の秒針の動きを見ながら、ルパートが真剣な顔つきでカウントダウンを始めた。
二匹のウサギが文字盤を抱いたデザインの時計、あれは故郷から持ってきた私物だ。と言うより今居るここが私の部屋なのである。
「7、6、5……」
見守るみんなの顔も大真面目だ。冒険者ギルド二階に在る私の部屋に七名もの人間が集結している。床抜けないかな。
「4、3、2……」
どうして私の部屋が集合場所に選ばれたのか。それはお調子者のマキアが「どうせ集まるなら女のコの部屋がいい」と言い出し、他の男達が誰も反対しなかったからだ。
「1、ゼロ!」
ゴクリと誰かが唾を呑み込む音が聞こえ、それから数秒間の沈黙。深緑の月22日、0時を迎えた瞬間だった。
「たった今……日付が変わった。マキア、身体は燃えていないな?」
「大丈夫です!」
ルパートに名指しされたマキアは力強く返事した。
「エン、腕や脚が一本足りないとかないか?」
「四肢とも揃っています」
「他のみんなも大丈夫だな? 心臓が痛いとか内臓が飛び出したとか、死に繋がる症状は出ていないな?」
ルパートの念押しに、全員で頷いた。
「……と、いうことは……」
彼の次の言葉を待った。
「俺達は全員で無事、十一日目に突入した! 時間のループを打ち破ったぞ!!!!」
ルパートが振り上げた拳に合わせて、ウォー!! と男達から歓声が上がった。そしてマキアが隠し持っていたパーティ用クラッカーをパンと鳴らした。私の部屋に舞う色とりどりのテープ。こらー、誰が掃除すると思ってんの!
ドン!
隣りの部屋から壁を強く叩かれた。キースが持参した折り畳みイスの上でマキアが身体を縮めた。そりゃ深夜に騒げば壁ドンされるよね。
「無粋な。隣に居るのは誰だ」
ベッドの上で脚を組んで座るアルクナイトが偉そうにお隣さんを非難した。悪いのは深夜に騒いでいるこっちの方だからね。
「出動班の若いのですよ」
「出動班と言うとあの山賊か? ああ見えて意外と若いのか?」
「いや、セスの旦那は所帯持ちなんで夜は家に帰ってます」
山賊というキーワードですぐセスに繋がった。
「ここは独身寮ですから」
「おまえ達以外にも出動班メンバーが居たのか?」
「ええ三人。それでも人手は全然足りないですけどね。あと薬師のマーカス先生、それと事務の女性も一人寮に入ってます。名前は……」
「いやいい。どうせモブキャストだろう」
魔王様ったら酷い。青年になっても中身は成長しないのね。
ちなみに私と結婚するとか言い出したもんだから、アルクナイトは左右をエリアスとルパートに固められ、私への接近を禁じられている。自室なのに男達にベッドを奪われた私は、キースの隣でイスに座っていた。いつでもすぐに障壁魔法で護ってもらえるように。
(それにしても……)
まさかアルクナイトにまでプロポーズされるとは。一方的に「結婚する」と言い放ったのは、いかにも唯我独尊な彼らしい。
そんな自分勝手な告白でも、やっぱり意識はしちゃうのである。
少年だった彼なら「あらあら背伸びしちゃって」とか笑い話にできるのだが、今のアルクナイトは大人の男性だ。
理知的で、逞しく、お腹と下乳が露出している。
(下乳……)
うん、無いな。私は恋愛対象から魔王を除外した。
「でも、本当に良かったです。みんな無事で」
キースが穏やかに微笑んだ。ウェーイウェーイ騒いだり、性欲にギラついたりしない彼と居るとホッとする。
私は男女交際を望んでいるくせに、肝心なところで臆病になっちゃうからなぁ。キースみたいな人と、ゆっくり愛を育んでいけたら幸せだろうな。
(……わぁ! 何考えてんの私!)
キースと結婚したエンディングも有ったとアルクナイトは言っていた。そのルートを辿った私は、今のようなことを考えたのだろうか?
「ロックウィーナ、どうかしたのか?」
おそらく百面相をしてしまっていた私へ、エリアスが優しく声を掛けた。いつもならキスしそうなくらい顔を接近させてくる彼だが、今日は魔王の見張りでベッドから離れられないでいた。良いのか悪いのか。
キースとの恋愛ルートを考えていたなんて言えないので、適当に誤魔化した。
「いや、今後のことを考えててっ……。明日、じゃなくて今日からですね。時間のループは壊したしギルドへの依頼もこなした訳ですが、これからみんなはどうなるのかなって」
ルパートが肩を
「ま、俺達は通常業務に戻るだけだろうな」
「ですね」
「マキアとエンはレクセン支部へ帰るのか?」
「……そうなると思います。俺としてはもう少しフィースノーに居て、皆さんと交流を深めたいのですが」
マキアが寂しそうに言い、エンも同調した。
「……俺もです。ここには腕の立つ方がたくさん居ますから」
せっかく友達になれたのに、お別れするのは悲しいな。自分で振った話題なのにしんみりしてしまった。
「エリアスさんと魔王様は?」
「人手不足なんだろう? もうしばらくギルドの仕事に協力しよう」
「感謝しろ庶民」
賑やかなこの二人とはまだ共同生活が送れそうだ。素直に嬉しい。アルクナイトは自室を思いっきり改造してしまっているしね、長く居てもらわなくちゃ困る。
「え、いいなー! 俺達も残りたい!!」
ついマキアが大声を出してしまったところで、再び壁がドン! と叩かれた。
「若いのと言うからには、小娘の後輩だろう。先輩の部屋を壁ドンするとはいい度胸だな」
「ここしばらく、俺達はギルドの通常任務から外れていましたからね。穴を埋めてくれた連中は大変だったはずです。ヘトヘトに疲れて眠っていたところを起こされて、もう勘弁してくれって心境でしょう」
エリアスとの一週間のミッション。アンダー・ドラゴンのアジト捜索。そして今日は有給休暇。出動班を束ねる主任のルパートがほぼ居なかった状態だ。ベテランのセスが残っていたとはいえ、出動班はそりゃ大変だったよね。感謝しないと。
「今夜はもうお開きだな」
「明日、明日こそ達成パーティをしましょうね!」
「流石に即日レクセンに帰って来いとは言われないだろうから、明日の夕飯時に軽く飲みましょう」
ヒソヒソと打ち合わせをしてから、マキアとエンがまず私の部屋から出ていった。
「さ、残った皆さん。折り畳みイスを僕の部屋まで運んで下さい」
「ここに置いとけばいいじゃん。どうせまた、みんなしてウィーの部屋へ来たがるだろうから」
「だな」
「小娘の部屋が皆の基地になるのか」
させねーよ。
「いけません。今夜が特別だったんです。皆さん、今後は夜に彼女の部屋に来てはいけませんよ? 男の出入りが激しいなんて噂が立ったら、ロックウィーナの醜聞になってしまうのですよ?」
私の代わりにキッパリ言ってくれたキースに感謝した。男連中は不満のようだったが、キースの魅了が怖いエリアスとルパートは渋々イスを手に持った。
「は、付き合ってる男女なら文句はあるまい!」
対して下乳とおへそを出した魔王は強気だった。
「ええ、交際中の男女なら僕に口を出す権利は有りません」
「なら今すぐ引け白。俺と小娘は熱愛中だ」
「いつから!?」
驚いた私へアルクナイトは距離を詰めた。
「人類の敵である魔王を愛し、世界から祝福を受けられなくても、俺の傍に居ると誓ったのはおまえだろう?」
「それってあなたとの結婚エンディング? 今とは違う時間軸だから! その私は私であって私じゃないから!!」
「おまえはおまえだ。俺を愛した記憶も感情も、おまえの中に確かに存在するんだ。すぐに思い出させてやる」
後退した私は壁とアルクナイトに挟まれた。彼は私が逃げられないように両手を壁に付いた。さっきとは違う意味の壁ドンだ。
ひゃああ。上半身ほぼ裸の男性が至近距離に居るよぉぉ。
「アル、やめろ」
「魔王様、ウィーを放して」
エリアスとルパートが伸ばした腕は、アルクナイトが常時発生させるバリアに弾かれた。
アルクナイトは私から視線を外さない。その真剣な眼差しに私は既視感を抱く。以前にもこうやって見つめられたことが有ったんだと。
「いけません」
キースの手がアルクナイトの顔の前までそっと伸び、手の平で彼の視線を遮った。
「……白。何故おまえは弾かれない?」
邪魔をされたアルクナイトだったが、その口調は静かだった。
「自動防御障壁は、術者の身の危険を察知して発動します。あなたに対して敵意を持たない者に対しては無効です。今の怯えるだけのロックウィーナのように」
そうか。エリアスとルパートは、アルクナイトの行いに怒ったか嫉妬したから弾かれたんだ。
「白、おまえは腹が立たないのか? 小娘に迫っている俺に対して」
「あなたへの怒りより、怖がっているロックウィーナを護りたいという気持ちが強いです」
「ふ」
アルクナイトは壁に付けていた手を放した。解放された私は反射的にキースの背中へ隠れた。
「小娘にとって、白は絶対的な安全地帯か」
そうかもしれない。
「白、おまえはずっと小娘の期待を裏切らずにいられるかな?」
「……どういう意味でしょう?」
眉を
小脇に折り畳みイスを抱えて。そこは律儀な魔王様だった。