冬至まつり800
前のエピソードへ「「逆向きの雪」海月海星」
セリフを投稿
文字数 801文字
タイトル:明日はなんの日?
ペンネーム:こむらさき
「そういえば、明日はなんの日かわかる?」
「えー?冬休み初日?」
「ちがうって。智美のそういうところ好きだけどさ」
本当はわかってるけど、知らないふりをする。
明日は和斗と付き合ってから一ヶ月記念日。
サプライズの予定があったら可哀想だから知らないふりをしてあげる。
「明日デートしよ。そのときに答え合わせな」
「えー?なにそれ?」
知らないふりをしたまま二人で駅まで行って、彼を見送ってからルンルン気分で家に帰ったわたしは自分の部屋に着くと早速手帳を開いた。
手帳にデートの三文字を書こうとしたところで、22日の欄にデカデカと「冬至」書いてあることに気が付く。そういえば元彼は私と付き合って一ヶ月記念を「夏至」って言ったんだよね…。
その彼とは大切な記念日を忘れるとか馬鹿じゃない?無理って思って別れちゃった。記念日の価値観が合わない相手はすごいイケメンでもやっぱり無理だし、記念日にちゃんとデートを入れてくれる和斗と付き合えたから別れて大正解!
ワクワクしてたらあっという間に朝になっていて、念入りにオシャレをして待ち合わせ場所に向かう。
先に来ていた和斗はわたしに気付くと大きく手を振ってくれた。あ!手になんか大きい袋持ってる!えー?ケーキとか?プレゼントかなー。うれしー。
「その顔は…結局今日がなんの日かわからなかったんでしょ?」
「わかったもーん!記念日でしょ?」
「記念日?」
「え?」
「いや、今日冬至だからさ。これ、柚子」
和斗はそういって紙袋いっぱいに入った柚子をわたしの自転車の籠に入れた。
「親戚がたくさん送ってきたから母さんが誰かにおすそ分けしろってうるさくてさ」
「あ…ありがとう。あのね…わたし風邪気味だから帰るね」
怒る気力も根こそぎ奪われて、体中の力が全部抜けたわたしは柚子を乗せたまま家に帰った。記念日なんて大嫌い…。心の底からそう思った。
violetsnake206
アップロード可能なファイルは5MまでのPNG、JPEGです。
縦幅は、画像の縦横比率を保持して自動調整されます。
スマホでの表示は、大・中・小のどれを選択しても、一律で320pxに設定されます。
★いいね!
ファンレターを書く
次のエピソードへ 「生誕祭と冬至祭」東雲飛鶴
作品お気に入り
登場人物はありません