冬至まつり800
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昼過ぎに起きて、そのまま布団でスマホゲーしつつダラダラしてたらもう日が暮れ始めてビビる。
まだ五時にもなってないのに、夜になるのってこんなに早かった? と、怠惰な俺もさすがに焦る。マジで今日なにもしてない。
でも今さらやる気出すのも無理だしど~すっかな~ってとこでアパートの扉がノックされる。いやボロアパートだけどピンポンくらいあるよ? と思いながら戸を開けると、この世のものとは思えないような和装の美少女が立ってて、俺いよいよ死ぬのかなって感じ。
「道に迷ったので一晩泊めて頂けませんか」
いまどきそんなのある? オッケーグーグルしな? とも思うけど、これは知ってる。鶴の恩返しでしょ。
でまあ、恩返しされる覚えもあるっちゃある。鶴じゃなくてコサギとかだけど、なんかの白い鳥。薄汚い犬に襲われてたから不憫に思って犬を棒でメタメタに打ち据えて追い払ってやったのだ。
コサギも鶴みたいなものだし、義理堅いらしい。せっかくの恩返しを断るのも野暮なので、俺は時代錯誤な美少女を小汚い部屋に招き入れる。
「夕食はわたしが用意します。台所を借りますね」
布とか織られても困るよな~メルカリで売れる? と思ってた俺としては飯のほうが分かりやすくてありがたい。
「では先にお風呂に入っていてください」と言われ、シャワーを浴びる。「なるべくごゆっくり」とも言われたけど、これはひょっとしてムフフな展開もある? と、落ち着かなくてザバッと飛び出す。
そしたら「あら、もう出てきたのですか」と、研ぎたてビンビンの包丁を片手に和装美少女がにっこり笑って首を傾げている。その頭のてっぺんからは、くすんだ茶色の獣耳がピョンと飛び出している。
「わたしはお前が棒で滅多打ちにして殺した犬の娘だ。我ら夜の眷属の力が最も高まる冬至の日を待っていた。さあ母の敵をとらせてもらおう。殺して分解して喰らい尽くしてやる」
いや、そっちのほうかよ。
ohswmgm
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