冬至まつり800
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文字数 724文字
クリスマスに会えないから、あなたに手紙を書こうかな?
casumi
文字では私の気持ちは表せないから。
あなたはきっと、わからないから。
書いても書いても、伝わらないから。
だから、会って話したいよ。
書いたのは『メリークリスマス』だけ。
早く沈んでしまった太陽、冬の夜空。
コートを着込んでポストまで歩いた。
不思議と寒さは感じなかった。
心と同じ冷たさだから、寒いと感じないのかも。
歩いて数分のところにあるポストまで、
誰にも会わずに着いた。
コトンと小さな音を立て、ポストの中に入った封筒。
クリスマスには届くかな?
届かなくても、いいのかも。
なんとなく、終わりが近づいているような、そんな気がしていた。
きっと、まだ……
自分にそう、言い聞かせていた。
不意に頬に冷たいものが当たった。
気のせいかと思っていると、もう一度。
思わず空を見上げた。
雲に覆われ、街灯が辺りをだいだい色に染め、その中を、何かが落ちてくる。
音もなく、ゆっくりと落ちてきた。
空気を十分に含み、ゆるゆる、ふわふわ。
ゆっくりゆっくり、ふわふわゆらゆら、静に白い雪が降っていた。
勇気を分けてくれるかのように
『ほらほら、平気。心配ないよ』と、励ましてくれるかのように。
これからもずっと、あなたと一緒に生きたいと願った。
うまく文字にできないから。
文字だとうまく伝えられないから。
だから
あなたに会いたい
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