【2-1】そんなつもりじゃ 1

文字数 420文字

 翌日。

 朝、少し遅め。

いってきまーす

 お母さんの返事はない。


 離れにある倉庫から、お父さん用のビールを引っ張り出してる最中だから、たぶん聞こえてないんだと思う。


 そんなのは、まあいい。

 朝ごはんの時に、出かけることは言ってあるから。

 今日は、近くの大きい街へ、出かけることになってる。

 ちょっと買い物に。

 移動するなら涼しいうちがいいから。

 幼馴染みのあいつは、駅前で待ってるはず。

『ガチャ』
おはよう。家、追い出されたから、迎えに来た
……はい?
 ドアを開けたら、いきなり現れた仏頂面。
近所に出来たアウトレットモールに行くって親が出かけたんで
はあ……。で、鍵は
僕に渡す前に、車で行っちまった
 ありゃあ……。
別にアウトレットなんて興味ないからいいんだけど、外に出されるのは、なあ
それで、うちの前で突っ立ってたわけ?
まあ
 なんだそれ。
にしても、久しぶりに帰ってきた息子にひどい仕打ちだねー
別に。昨日の晩は大歓迎してくれたし
そっか。ならいいや
……
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登場人物紹介

高校一年生。地元の普通科に通っている。
最近、絵を描こうと思い立った。
あいつのことを弟分だと思っている。
とある銘柄の、ペットボトルの紅茶が好き。

あいつ

の近所に住んでいた幼馴染み。高校一年生。
美術科のある県外の私立高校に進学した。普段は学生寮に住んでいる。
夏休みになり、実家に戻って来た。
なぜか100均に詳しい。

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