【3-1】紅茶のボトル 1
文字数 401文字
結局私は、画材屋のある街じゃなくて、その手前の駅の、大きめの100均に行って画材を買った。
たしかに、思っていたよりも本格的なものが揃っていて、私は自分の無知加減を知った。
というか、これ本当に100円で売っていいの?
帰り道、『お前は絵描きを侮辱してんだよ』という彼の言葉がなんどもなんども頭の中をぐるぐると回っていた。
彼は本気で絵をやってるのに、遊び半分で手を出そうとした私は、彼を怒らせてしまった。
これから絵を始めようとした私に、彼は少しでもよかれと思って。
なのに。
自分が悪い。
そんなこと、昔から知ってたはずなのに。
――昔から?
高校生になるまでずっと手を出そうともしなかった私が。
物心ついた頃から、絵を描く彼をずっと見てるだけだった私が――。
だから、余計に……怒ったんだ。
でもそれと画材と、どういう関係なのか。
まだ、わからない。