【6-1】こわかったことと新しい謎 1

文字数 587文字

 数日経って、土曜日。


 あいつんちでピザ&バーベキューパーティ。

 なんか気まずいし、なんか言われんのもイヤなので、なるべく離れて食べてた。

いや~食べた食べた~。バーベキューだけじゃなくてピザもあんなにあったらも~たいへんだよ~
あそこまでピザを量産しなくても、ねえ。ママも食べ過ぎちゃったわよ

 ひとしきり食事を堪能した私は、庭のすみにあるベンチで食休み。

 ぼんやりとパーティの様子を眺める。

 大人たちは、ビール飲みまくってて、顔が真っ赤になってる。

 チビたちは飽きたのか、子供用プールで遊んでいる。

よう
 あいつがバケツを片手にやってきた。
ぎゃッ、……なんだ、あんたか
もう食い物はいいのか
ああ……もう、いっぱい。ごちそうさま
座っていいか
どうぞ。自分ちのベンチでしょ
一応聞いた

 彼が隣に座ると、自分の前にバケツを置いた。

 中には水と氷、そして、紅茶のペットボトルが二本。

飲む?
 彼はビーチサンダルの先で、ずい、っとバケツをこっちに押した。
あのさあ
ん?
なんでこれ、飲んでるの?
……べつに

 私はバケツの中から一本取って、キャップを回した。

 紅茶はかなり冷えていた。

なんで? こないだは、コーヒー売り切れてたとかウソついてさ
 彼は膝の間で手を組むと、親指同士をもにょもにょと動かしている。
……言わないとだめなのか
ダメ
 彼はしばらく無言でもにょもにょしていると、顔を上げてしゃべりだした。
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登場人物紹介

高校一年生。地元の普通科に通っている。
最近、絵を描こうと思い立った。
あいつのことを弟分だと思っている。
とある銘柄の、ペットボトルの紅茶が好き。

あいつ

の近所に住んでいた幼馴染み。高校一年生。
美術科のある県外の私立高校に進学した。普段は学生寮に住んでいる。
夏休みになり、実家に戻って来た。
なぜか100均に詳しい。

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