【5-2】忘れっぱなしだったわけじゃない 2
文字数 801文字
あいつが帰ってきてから、顔を合わさないように、私は極力家の中にいた。
宿題をやってるから、と言えば、親もとやかくは言わない。
とはいえ、おなかが空けば台所には行くわけで。
「こっちよー」
玄関の方から声がする。
スリッパをペタペタさせながら玄関に行くと――
あいつがいた。
彼は両手にぶら下げたスイカを持ち上げて見せた。
ぺこりと頭を下げると、スイカを揺らしながら彼は玄関から出ていった。
私はスイカを持って、風呂場まで廊下をぺたぺた歩いてった。