【6-3】こわかったことと新しい謎 3
文字数 1,006文字
目が点になってる。
驚いてるのはこっちもなんですけど!
混乱してるのか、なんか挙動不審になってきた。
私は彼の手首を掴んだ。
目がぐるぐるしている。
彼の顔が真っ赤になって、脈がはやくて、呼吸も荒くて……
私が手を引いて家の中につれていこうとすると、全力で抵抗しはじめた。
おかしい。なんか涙目になってる。
彼がぼそりと呟いた。
……まさか、いじめ? 学生寮で、密室で??
いままでさんざん抵抗してた彼が、ぴたりと動きを止めた。
聞いたこともないような、腹の底から絞り出すような、低い声。
私を一瞬、睨み付けて――普通の顔にもどった。
ゾッとした。
ほんの一瞬だったけど。
彼は、それだけ言うと、家の中に逃げ込んでいってしまった。
ったく。……なんだあれ?
そうこうしてると、大人の時間もそろそろお開きになったらしい。
ぼちぼち帰るよ、とパパの声がして、みんなで挨拶して解散になった。
庭を出るときにちらと振り返ると、二階の窓からあいつが見てた。
でも、私に気付くと、シュッと引っ込んでいった。
なんだあれ。ホント、なんだあれ。
――怖かった。