【6-2】こわかったことと新しい謎 2

文字数 466文字

じゃあ、お前なんで急に絵なんか始めたんだよ
 え! そうくる?!
ああ……それは……えっと……
なんでだよ? 
僕が十年もずっと誘ってたのにやらなかったお前が、なんでいまさら始めんだよ
……言わないとダメ?
ダメ
…………
…………

 この話はドローになったっぽい。

 しばらく無言で座ってたけど、二、三分ぐらいして彼が口を開いた。

お前、夏休みなんだから、彼氏とどっか行かないの
は? なに、いきなり
どう……なんだよ
いないよ
え?
彼氏とかいないっつってんの
……マジ?
だからなんでそういう話になってんの?
いやだって……その
なんで?
…………………………見たから
いつ! どこで!
 本気で身に覚えがない。
中三のとき、学校で。よく男子といっしょにいただろ。こっちの校舎にも来ないし、顔合わせてもスルーだして……。だから
 どんどん小声になっていって、周りのうるささで聞き取るのがやっとだった。
ああ、あれ? 
あの子、春から転入してきた帰国子女だったんだよ。
学級委員になったから、面倒みろって担任に言われて
……へ!? なにそれ!
 彼は半分腰を浮かせて、私の顔をガン見した。
ワンクリックで応援できます。
(ログインが必要です)

登場人物紹介

高校一年生。地元の普通科に通っている。
最近、絵を描こうと思い立った。
あいつのことを弟分だと思っている。
とある銘柄の、ペットボトルの紅茶が好き。

あいつ

の近所に住んでいた幼馴染み。高校一年生。
美術科のある県外の私立高校に進学した。普段は学生寮に住んでいる。
夏休みになり、実家に戻って来た。
なぜか100均に詳しい。

ビューワー設定

背景色
  • 生成り
  • 水色