【1-2】15センチの再会 2

文字数 302文字

 彼と最後に言葉を交わしたのは、中三の春。
 幼馴染みの彼とは、中二で同じクラスだった。
 新学期初日。
 校舎前の掲示板前に、黒山の人だかりが出来ていた。
 みな、自分がどのクラスになったのか、探している。
 同じクラスになって、飛び上がって喜ぶ子たち。
 別々のクラスになって、べつにいつでも会えるのに泣いてる子たち。
お前どこになった?
A組
そっか。僕はD
実技もあるから大変だよね。美術科とか
でも、やりたいことだから大丈夫だよ
そっか。がんばれ
おう

 それが、彼と最後に交わした言葉だった。

 進路でコース分けされた私たちは、教室どころか校舎も別々になって、私は私で受験勉強が忙しくて、彼のことを思い出しもしなくなった。

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登場人物紹介

高校一年生。地元の普通科に通っている。
最近、絵を描こうと思い立った。
あいつのことを弟分だと思っている。
とある銘柄の、ペットボトルの紅茶が好き。

あいつ

の近所に住んでいた幼馴染み。高校一年生。
美術科のある県外の私立高校に進学した。普段は学生寮に住んでいる。
夏休みになり、実家に戻って来た。
なぜか100均に詳しい。

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