【7-2】気まずいランチタイム 2

文字数 545文字

 私たちは、駅前に最近出来た、イタリアンのファミレスに入った。

 平日のお昼時のせいか、近所のサラリーマンが多かった。

 私たちは適当にランチを頼んで、黙黙と食べた。

 ひたすら食べ終わるまで、二人とも無言で。

 ランチセットについてるドリンクバーで、私はメロンソーダを注いできた。

 交代で汲みに行ったあいつが戻ってくると、手にはホットコーヒーのカップ。

紅茶じゃないんだ
カプチーノが飲み放題なんだから、普通、入れるだろ
ふうん
 私がいぶかしげな目で見ると、彼はむっとした顔で椅子に座り、ざらざらとスティックシュガーを流し込んでティースプーンでぐるぐる回しはじめた。
あのさ、なんでお前、僕のこと一年間も無視してたわけ。道でだって会っただろ
だから視界に入らなかったんだって
……それで僕に納得しろっていうの
ちょ、それそんな怒るとこ?
理由を言え。じゃないと、ここの支払いしないぞ
なにそれぇ……。私ウソ言ってないってば
納得出来ないっつってんだよ!

 普段、すごくおとなしい奴なのに、怒鳴られてびっくりした。

 というか最近なんか気が立ってるように見える。


 一瞬、まわりの席の人がこっちを見たけど、すぐに向き直って同席の人との会話を再開していた。

 彼は腕組みをして私を睨んでる。

 どうしよう……。言わないと帰れない。

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登場人物紹介

高校一年生。地元の普通科に通っている。
最近、絵を描こうと思い立った。
あいつのことを弟分だと思っている。
とある銘柄の、ペットボトルの紅茶が好き。

あいつ

の近所に住んでいた幼馴染み。高校一年生。
美術科のある県外の私立高校に進学した。普段は学生寮に住んでいる。
夏休みになり、実家に戻って来た。
なぜか100均に詳しい。

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