【8-3】パンドラの箱 3
文字数 381文字
彼は、頭がクラクラしている私を連れて、駅ビルのジュエリーショップに入った。
何が何だかわからないうちに、気付いたら私の指にはリングがはまっていた。
ジルコン入りのシルバーペアリング、一組で15000円するんですけど……。
よけい頭がクラクラしてきた。
目の前の婚約者は、満足そうに笑みを浮かべて、私の手を握った。
二人の距離。
いまは、0センチメートル。
そして、これから、何度も何度も、わたしたちは、0センチと数万センチを繰り返していくのだろう。
だけど不安はない。
こいつなら、きっとなんとかしてくれる。
そう、思えるから。
(了)