【7-3】気まずいランチタイム 3

文字数 528文字

…………これ、うちの親には内緒だよ。いい?
ああ。それで
 ――すごい、怒ってるっぽい。なんか言い方がこわい。
私さ、中二ぐらいから、急に目が悪くなったんだ
へ? だってメガネとか中学ん時からかけてないじゃんか
かけたくないんだ、メガネ
……あ
親に言ったら、絶対にかけさせられる。
コンタクト反対派だから。
でもそんなんイヤだし。
だから絶対に言うなよ。言ったら殺す
もしかしてお前、それで……
 組んだ腕をだらんと下げて、間抜けな顔になった。
だから、身長が変わった僕を……
そう。わからなくなった。
あんたのことが
 彼は、はーっ、と大きなため息をつくと、まだ熱いカプチーノをぐっと飲み込んで、口の中を火傷したのか、あわてて氷ごと水を飲んだ。
(なにやってんのこいつ。バカじゃないの?)
お前、どんだけ目、悪くなったんだよ……。本気で心配になってきたぞ
大丈夫だよ。それに大学行ったらコンタクトするし
大学ってまだ三年もあるじゃんか
やなもんはやなの
……しゃあねえな

 その言葉の続きがあった。

 ぼそぼそと小声で。

 よく聞き取れなかった。

いま、なんつったの
なんでもねえ
なんつったの
 彼は顔を真っ赤にして、ぼそっと言った。
……向こう七年、お前の後ろを歩けないのに、って言ったんだ

 え?

 どういう?

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登場人物紹介

高校一年生。地元の普通科に通っている。
最近、絵を描こうと思い立った。
あいつのことを弟分だと思っている。
とある銘柄の、ペットボトルの紅茶が好き。

あいつ

の近所に住んでいた幼馴染み。高校一年生。
美術科のある県外の私立高校に進学した。普段は学生寮に住んでいる。
夏休みになり、実家に戻って来た。
なぜか100均に詳しい。

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