014 思い込んだら それが根拠なの
文字数 2,204文字
そんな紡へ、きり込まない道理など深緋にありはしない。
「じゃあ、紡が探り廻ろうと思えるほどの、違和感の数数じゃなかったわけなの?」
「ま、そう言うこと」
「ウ~ム……でもって、全く無関係な奴を繰と入れ替えて見せたのは、結局アタシたちへの挑戦状にしかなりそうもないの。受けて立ってやろうじゃないのっ」
「基本姿勢はね。ツッコみとノりの好さだけじゃ、どうにも相手になれなかったけどさ。深緋がそろえばオチがつく、やられまくりはなくせるはずじゃん?」
「わかったの。その犯人って言うか、しっかり攻撃をしてこないイマイチ敵なのかはっきりくっきりしない挑発者が誰か判明次第、次元の狭間へ消し飛ばしてやるの」
「やってみてもいいけどさ、深緋一人の時に判明したら悪足掻きせずに、とにかくワタシたちへスグ知らせるように。一応話してみないと、正体は知っておきたいから」
紡は再び繰へ目配せをする。今度は同調のノりを求める眼色で。
「そ~そ~。誰がどうであれ、まずは紡がツッコんで、それに繰がノってあげないことには、深緋のオチもつかないんだから~。一人でいいトコ見せようとジタバタせずに、速やかに繰たちを呼びなさぁい」
「どうせ繰が一番ビビってクルクルしちゃうクセに。パーもグーグー眠る丑三つ時だろうが呼んでやるぅ、繰のスマホに呪いのメッセージで送るから覚悟しとくの」
「そんなことしたら絶対行かないし、紡にだって知らせてあげないもんっ。大体、深緋が夜中の二時過ぎまでチョッキリ起きてるなんてあり得ないしぃ」
紡はもう目も向けずに言う。
「まったく。緊張感なさすぎなのは頼もしい限りだけどさ、深緋も、繰も、わかってるんだろうね?」
深緋と顔を見交わしてから、繰が仕方なくテヘ~ッと返答。
「一体なぁに~?」
「ったく。相手は一人で実力行使ができるけど、こっちは三人、気持までそろってないとダメな上に、それがバレる前に実力行使しとかないとヤバいってことだよ。それもサロン・ド・メで勝ちきるために、当日の本番までにはケリをつけとかなくちゃ」
「わかってるよ繰は~。さもないと、勝った途端に認識を、ほかのクラスと結果を入れ替えられちゃうかも知れないもん」
「わかってないの。これだからパ~は──」深緋は首アイソレーションでの頭 をふる──「もし本番までケリがつけられなかったら、アタシたちで優勝を確定しちゃえばいいだけなの」
「ンン~? 繰にはそんな簡単なこととは思えないけどぉ」
「ほかのクラスが仕上げたコス全部に、紡がツッコんで繰がノってくれちゃえば、審査結果が出る前にアタシがチョッキリ裁断してあげちゃうの。それだって
ヒネりだしていた首が限界に達して回りそうになるのを、繰は両目を回すことで元へ戻す。
「……チョット待ってぇ。深緋のオチづけ力が、挑発者の入れ替え力より強いって根拠はどこにあるわけ~?」
「根拠なんていいのっ。紡と繰が勝つとアタシに裁断させてくれれば、合わせ技一本で絶対に勝ぁつ! 第一、アタシたちのそんな実力行使ができちゃう根拠からして不明なんだしっ。でしょでしょ紡?」
「だろうね。でもマジにさ、ワタシらがしっかり確定を導きさえすれば、入れ替えられやしない気がするよ。ただ負けちまうことだけはないってガチに」
「当然かもそれはぁ。テキト~に確定させたら、結局あとあと何かがどこかで歪みだしちゃってて、違和感じゃ済まないモヤくりが起きてたカンジだし~」
「そんな記憶は、アタシのシリカ製記憶領域のボクセルにないのっ。アタシはチョッキリ確定するだけだから正当だもん。テキト~になったら、それは繰のノりが悪かったせいなの」
「繰だって知らないもんっ。けど、正当に確定させれば、ゆるぎもしない大磐石な絶対条件として、日日が循循 とうち過ぎてくれちゃう気が繰もするぅ。正当と言うより、より妥当にかも知れないけど~」
「だからこそコス自体の出来は、主役も引き立て役も最高の仕上げでないとダメなの。繰をクルクル心底からノらせてあげちゃうから、妥当でも正当でもアタシの裁断を覆せるものかぁ、アタシたちの確定が罷り通るに決まっておろう」
「そう言うことじゃん? 何せ、どう考えたって相手のチカラは道理にハズレた不当なモノでしかないんだから。正義があるならワタシたちにあり、さ」
「オォッ、紡が珍しくグッとくることを言ったの」
「しかしながら、まずは今日これからの最初の一歩をゆるぎなく踏み出さないと。ユル~い繰をクラス委員に奉 る分、深緋もさっきみたくセンセ相手にまで、いつもの調子でやられちゃ困るんだからねっ」
「ではでは~。今からその辺のところを、繰がゆ~るりと深緋の肝に銘じるだけでなくぅ、心骨にまで刻 してあげちゃおうじゃなぁい?」
「ゲロロンパ~。それ、キツすぎだから勘弁なの、紡から問答無用でつべこべ言われる方がずっとマシ。大体、とうに大スジはわかってるしっ。アタシはとにかく、クラスのみんなからは疎まれちゃ絶対ダメ、イジり倒していいのは担任だけ、でしょ?」
「要点としてはそうなんだけどさ、担任をイジるのもほどほどにだって。また思うがままのやりたい放題でイジりまくっちゃうと、みんなドンビきして疎まれるのも同然になるじゃん」
結局は、紡だけでなく、繰にも角を立てた目で横見をされる深緋だった。
「じゃあ、紡が探り廻ろうと思えるほどの、違和感の数数じゃなかったわけなの?」
「ま、そう言うこと」
「ウ~ム……でもって、全く無関係な奴を繰と入れ替えて見せたのは、結局アタシたちへの挑戦状にしかなりそうもないの。受けて立ってやろうじゃないのっ」
「基本姿勢はね。ツッコみとノりの好さだけじゃ、どうにも相手になれなかったけどさ。深緋がそろえばオチがつく、やられまくりはなくせるはずじゃん?」
「わかったの。その犯人って言うか、しっかり攻撃をしてこないイマイチ敵なのかはっきりくっきりしない挑発者が誰か判明次第、次元の狭間へ消し飛ばしてやるの」
「やってみてもいいけどさ、深緋一人の時に判明したら悪足掻きせずに、とにかくワタシたちへスグ知らせるように。一応話してみないと、正体は知っておきたいから」
紡は再び繰へ目配せをする。今度は同調のノりを求める眼色で。
「そ~そ~。誰がどうであれ、まずは紡がツッコんで、それに繰がノってあげないことには、深緋のオチもつかないんだから~。一人でいいトコ見せようとジタバタせずに、速やかに繰たちを呼びなさぁい」
「どうせ繰が一番ビビってクルクルしちゃうクセに。パーもグーグー眠る丑三つ時だろうが呼んでやるぅ、繰のスマホに呪いのメッセージで送るから覚悟しとくの」
「そんなことしたら絶対行かないし、紡にだって知らせてあげないもんっ。大体、深緋が夜中の二時過ぎまでチョッキリ起きてるなんてあり得ないしぃ」
紡はもう目も向けずに言う。
「まったく。緊張感なさすぎなのは頼もしい限りだけどさ、深緋も、繰も、わかってるんだろうね?」
深緋と顔を見交わしてから、繰が仕方なくテヘ~ッと返答。
「一体なぁに~?」
「ったく。相手は一人で実力行使ができるけど、こっちは三人、気持までそろってないとダメな上に、それがバレる前に実力行使しとかないとヤバいってことだよ。それもサロン・ド・メで勝ちきるために、当日の本番までにはケリをつけとかなくちゃ」
「わかってるよ繰は~。さもないと、勝った途端に認識を、ほかのクラスと結果を入れ替えられちゃうかも知れないもん」
「わかってないの。これだからパ~は──」深緋は首アイソレーションでの
「ンン~? 繰にはそんな簡単なこととは思えないけどぉ」
「ほかのクラスが仕上げたコス全部に、紡がツッコんで繰がノってくれちゃえば、審査結果が出る前にアタシがチョッキリ裁断してあげちゃうの。それだって
技あり
か有効
なはずぅ、謎の挑発者には、結果が出るまで実力行使ができないんだから」ヒネりだしていた首が限界に達して回りそうになるのを、繰は両目を回すことで元へ戻す。
「……チョット待ってぇ。深緋のオチづけ力が、挑発者の入れ替え力より強いって根拠はどこにあるわけ~?」
「根拠なんていいのっ。紡と繰が勝つとアタシに裁断させてくれれば、合わせ技一本で絶対に勝ぁつ! 第一、アタシたちのそんな実力行使ができちゃう根拠からして不明なんだしっ。でしょでしょ紡?」
「だろうね。でもマジにさ、ワタシらがしっかり確定を導きさえすれば、入れ替えられやしない気がするよ。ただ負けちまうことだけはないってガチに」
「当然かもそれはぁ。テキト~に確定させたら、結局あとあと何かがどこかで歪みだしちゃってて、違和感じゃ済まないモヤくりが起きてたカンジだし~」
「そんな記憶は、アタシのシリカ製記憶領域のボクセルにないのっ。アタシはチョッキリ確定するだけだから正当だもん。テキト~になったら、それは繰のノりが悪かったせいなの」
「繰だって知らないもんっ。けど、正当に確定させれば、ゆるぎもしない大磐石な絶対条件として、日日が
「だからこそコス自体の出来は、主役も引き立て役も最高の仕上げでないとダメなの。繰をクルクル心底からノらせてあげちゃうから、妥当でも正当でもアタシの裁断を覆せるものかぁ、アタシたちの確定が罷り通るに決まっておろう」
「そう言うことじゃん? 何せ、どう考えたって相手のチカラは道理にハズレた不当なモノでしかないんだから。正義があるならワタシたちにあり、さ」
「オォッ、紡が珍しくグッとくることを言ったの」
「しかしながら、まずは今日これからの最初の一歩をゆるぎなく踏み出さないと。ユル~い繰をクラス委員に
「ではでは~。今からその辺のところを、繰がゆ~るりと深緋の肝に銘じるだけでなくぅ、心骨にまで
「ゲロロンパ~。それ、キツすぎだから勘弁なの、紡から問答無用でつべこべ言われる方がずっとマシ。大体、とうに大スジはわかってるしっ。アタシはとにかく、クラスのみんなからは疎まれちゃ絶対ダメ、イジり倒していいのは担任だけ、でしょ?」
「要点としてはそうなんだけどさ、担任をイジるのもほどほどにだって。また思うがままのやりたい放題でイジりまくっちゃうと、みんなドンビきして疎まれるのも同然になるじゃん」
結局は、紡だけでなく、繰にも角を立てた目で横見をされる深緋だった。