第21話 守護霊内閣

文字数 839文字

 担当が大臣ともなると、守護霊もそれなりに大変になる。判例も少ないため、定期的に守護霊同士で集まって罪の重さを決める。
 「防衛費で高額な買い物を上乗せして買っているそうじゃあないか?」
 いやな防衛大臣の担当霊が質問される。
 「われわれの時代なら、売国奴とかロッキードなんて言われましたけど、ポチ度120%の優良物件ですわ。」

 「それより、経産相のほうは大丈夫ですの?」
 「かなりやばい。現金じゃなく、あの世の火葬通貨にしておけばいくらでももみけせましたものを。ポチ度減点。」
 罪の基準がポチ度になっている。
 「ところで、あなた。官庁大臣担当なんてうらやましいわ。」
 「いままでは目立たなかったけど、父親ゆずりのなかなかのポチ度と伺っているわよ。」
 まるで大阪のおばちゃんたちの井戸端会議だ。女性率が高い。男女機会均等法なんていっているが、あの世では長生きしてきた女性のほうが強い。最近は男女鍋釜均等案が検討されるほど、おねえたちの進出も増えている。

 「今回は、しきいの件でお集まりいただきました。」
 総理担当が口を開く。罪のしきい値でもきめるのだろうか?
 「あの、万歳のときにしきいを踏んでたやつね。」
 「本来なら、大減点なんですけど、あの方ヨウショクじゃなくて天然でいらっしゃるから、問題にもならないわよね。」
 養殖と要職をかけたらしい。
 「今回は悪意というより無知によるものですから減点なしでどうです。」
 「そうね。これ以上減点しようもないですしね。」
 現在の点数は個人情報なので公にはできないが、かなりやばいらしい。
 「知らないって徳よね。」
 「そうそう、徳といえば脱税の芸人さんたち。まだまだ出てくるんじゃないかしら。」
 「だいたい、こんな複雑な税制。理解できるわけ無いでしょ。議員が節税するための抜け穴よ。一般人が使っていわけないじゃない。」
 財務大臣担当がいうと意味深だ。

 こんな話がしばらく続き、会合は終わった。
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