第5話 ポイント2倍デイ
文字数 748文字
人生には節目があり、そこでは徳が何倍かになる。昔がら役年とか、還暦や喜寿といったときには、そこでの付与ポイントが何倍かになる。オッズは対象によって異なる。喜寿など高配当の相手にいいことをすると、ポイントが倍になる。逆に役の人間に関わるとマイナスになってしまう。自分の配当が増えるわけではなく、相手の倍率によってもらえるポイントが変わるのである。
ただし、お釈迦様の命日だけはあまねくポイントが2倍になる。守護霊としてはポイントを稼ぐチャンス。しかし、こんなときに限って殺生したり争いごとをしてポイントを減らしてくれる。蟻を踏み潰すわ、レジが遅いと店の定員にからむわ。こんなんじゃ、いつまでも0ポイント会員のままだ。
功は乗っていた電車が駅で止まると、座席を老人に譲った。
「ほう、たまにはいいこともするんだ。」
喜んでいるとポイントの通知がきた。-20ポイント。一瞬目を疑った。よく見ると、功の後に座った爺さんが周囲から睨まれている。
「くっさ~い。」
となりの、若い女が鼻をおさえている。
功のやつ、オナラをしやがった。そして、周囲に気付かれる前に爺さんと入れ替わったのだ。ダメなやつはとことんダメだな。そう思っていると、
「爺さん、助かった。危うく寝過ごすとこだった。」
そういって、急いで降りていったサラリーマンがいた。爺さんの頭の上に金色の星が出た。ポイントが上がった証拠だ。運のいいヤツは何があっても幸運が舞い込んでくるもんだ。それに対して、功の頭の上には黒い星が輝いている。
「よう、新人。頑張ってるか。」
爺さんの後ろから、功の前任の守護霊が現れた。
「悪い出来事をいいことに変えるのも守護霊の実力だ。」
そういって、彼は次の担当の元へと向かった。
ただし、お釈迦様の命日だけはあまねくポイントが2倍になる。守護霊としてはポイントを稼ぐチャンス。しかし、こんなときに限って殺生したり争いごとをしてポイントを減らしてくれる。蟻を踏み潰すわ、レジが遅いと店の定員にからむわ。こんなんじゃ、いつまでも0ポイント会員のままだ。
功は乗っていた電車が駅で止まると、座席を老人に譲った。
「ほう、たまにはいいこともするんだ。」
喜んでいるとポイントの通知がきた。-20ポイント。一瞬目を疑った。よく見ると、功の後に座った爺さんが周囲から睨まれている。
「くっさ~い。」
となりの、若い女が鼻をおさえている。
功のやつ、オナラをしやがった。そして、周囲に気付かれる前に爺さんと入れ替わったのだ。ダメなやつはとことんダメだな。そう思っていると、
「爺さん、助かった。危うく寝過ごすとこだった。」
そういって、急いで降りていったサラリーマンがいた。爺さんの頭の上に金色の星が出た。ポイントが上がった証拠だ。運のいいヤツは何があっても幸運が舞い込んでくるもんだ。それに対して、功の頭の上には黒い星が輝いている。
「よう、新人。頑張ってるか。」
爺さんの後ろから、功の前任の守護霊が現れた。
「悪い出来事をいいことに変えるのも守護霊の実力だ。」
そういって、彼は次の担当の元へと向かった。