第19話 こりずにしんじろう

文字数 547文字

 日本に帰ってくると、あの世をあげて歓迎された。
 「日本霊の誇りです。いやあ、外交問題になりかねない問題だけに、先方がたいそう喜んでくれて、閻魔様もホッとしています。獄民栄誉賞も検討しています。」
 先方の思い込みとはいえ、ポチ度の評価だけに、それはまずい。
 「ありがたいお言葉ですが、そこまでは。それに、まだなんの実績もありません。この程度でいただけるものだと思われかねませんので、もっと貢献度の高い方をご検討されてはいかがでしょう。」
 丁重にお断りをする。言ってみれば先方はスパイとして送り込ませたんだ。こんなとこで表彰されては、ますますポチやシロの天下になる。従順な犬より孤高の猫になろう。

 「では、担当を変えましょう。今のままではゼロ評価です。内閣新大臣となった期待の人物を担当してもらいます。」
 そういわれて、向かった先は、『こりずにしんじろう』議員。お茶の間で人気な、ペットにしたいNo.1の人物だ。ポチ霊にふさわしい担当ということか。
 鰐皮スグステルとの『できちまった婚』でも話題となった。父親は、『こりずにもういちど」。

 「表の顔は好青年ですが、裏では何を考えているかわかりませんから、しっかり査定してください。」
 そういい残して、案内役は帰ってしまった。
ワンクリックで応援できます。
(ログインが必要です)

登場人物紹介

登場人物はありません

ビューワー設定

文字サイズ
  • 特大
背景色
  • 生成り
  • 水色
フォント
  • 明朝
  • ゴシック
組み方向
  • 横組み
  • 縦組み