第14話 アンポンタンとインポータント

文字数 530文字

 「仕事は順調かい?」
 同期の連中がぞろぞろとやってきた。霊の同期といえば、一緒の年に亡くなった連中だ。みなもうろくして互いの名前なんて覚えちゃいない。
 「ああ、楽なもんさ。」
 実際はそれほど楽なわけではないが、慣れもあってか、最初のころのような緊張感はなくなっていた。
 「これから花見にいくんだが、仕事中じゃぬけだせないか。」
 「そうだな。まだ新参者だからサボるわけにもいかないからね。」
 笑顔で、霊に表情とかあるのか不明だが、答える。
 「なんで、死んでまで働くかね。日本人は理解できません。」
 イタリア人が大げさな身振り(をしているのだろう)であきれた。
 「働きすぎて金の糞をするそうじゃないか。キンベン、糞真面目ってことだろ?」
 アメリカ人は、あいかわらず発想がぶっ飛んでいる。
 死者はあの世では共通語だ。悪口もちゃんと聞こえる。
 「金は無いけど、猿マネーが好きだし。」
 「アンポンタンなやつほど倍倍金に夢中らしい。」
 「倍返しという風習があるらしいからな。こいつは重要だ。守らないと手打ちにされるられしい。」

 日本のイメージってそんななのか。なお、死人に説教しても、すぐ忘れるので無駄。こいつらの脳は『マジ豆腐』なのだ。
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