第13話 ネズミ講男がきたろう

文字数 1,030文字

 「ネズミ講男が来ませんでしたか?」
 本部から連絡が入った。
 「さっき、来たが、あやしいので追い返した。」
 「それは、よかったです。ですが、すでにリストが出回ってまして、これを解除する必要があります。」
 う~ん。これもどっかで聞いた様な話の流れだ。
 「別にいいよ。」
 俺は、即、断った。
 「あなただけではなく、今後の交代のことも考えてですね・・・。」
 まあ、相手もしつこい。本部の中に連中の仲間がいるってことなのか。
 「そっちでわかると思うけど、担当者のポイントマイナスだけど。」
 そういったとたん
 「チッ!」
 という舌打ちが聞こえて切れた。

 どうやら本部でもたいした情報も得られない下っ端の連中が加担しているようだ。通報したところで業績アップするわけでもないし、ほっとくことにした。
 すると、
 「こちら、閻魔庁の者ですが、なにかの勧誘の話が来たろうと思いますが?」
 冥界にはめずらしい、若い女性の声だ。
 「さっき、来た。」
 少々、うんざりしているとこなので、ぶっきらぼうに答えた。
 「それは、詐欺グループです。・・・断った!?賢明です。ですが、ここはひとつ騙されたふりをして摘発にご協力いただきたいのですが。」
 「担当がマイナスポイントですから、そちらで全て容易してくれるなら。」
 面倒だが、とりあえず話をあわせてみる。
 「借ポイントできますよ。成功すれば2倍になります。」
 博打的要素のあるものは苦手だ。どんなに勝率がいいといわれても、勝つにはそれなりの準備がいる。そんな面倒なことはしたくない。ましてや、功だ。ポイントがアップして運がよくなっても、すぐに落ちるに決まっている。0ベースのままでいけばアップも無いがダウンも無い。こっちもしょせんは、暇つぶしに働いているだけなのだし、本当だとしても借りてまでつきあう必要も無い。
 「無理。」
 面倒になって断ると
 「がたがたいわんで、協力せんかい。」
 急に態度が変わった。さてはこの娘、ネコを被ってたな。
 「孫に協力して、わしの敵を討ってくれくれんかのう。グスン。」
 今度は爺さんの声がした。爺さんの泣き落とし。
 「面倒だし、やだ。」
 「ここは、一旦揉めんと冷静に話さんとね。」
 また別人の声だ。

 「担当に動きがあったので、後で閻魔庁に連絡するから、部署どこ?」
 「ツー、ツー。」
 切れた。やれやれ詐欺グループのしつこさには恐れ入る。
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