You and Me 1.

文字数 495文字

覚えていますか。
貴方が最後にくれた言葉は、
「後悔しないね」

さよならを平常心で受け入れられるほど、淡白な人間だと思われたのでしょうか。
当時はそう思ったけれど、今思えば、貴方なりの餞だったのでしょう。
肝心な時に強がってみせる癖、お互い似ていましたね。貴方の前では素直になれて、嬉しかったのに、素直だったのは、好きでいたいという独りよがりの気持ちだったのかもしれません。


一人に戻るとき、そこにさよならの言葉は無かった。
二人になるとき、それはいつだったかしら。

いつの間にか始まって、強制的に終わらせた関係性。そこに名前などない。
後悔だけが尾を引いて、あれは愛だと嘯いた。

そうよ、あれは愛だった。
だって、こうして思い出す度、恋しくなるもの。
その声で名前を呼んで、抱き寄せて欲しいって、思うもの。


ゴミ箱の中の映画の半券。貴方の誕生日に一緒に観た半券(おもいで)は、印字が薄れタイトルが消えかけています。映画の内容も、ほとんど忘れました。主演俳優の名すら思い出せませんが、観終えて、じんわりと後味を残すことだけ、覚えています。

引っ越しに向けまとめた荷物はとてもすっきりしています。
後悔の無いよう選りすぐりましたから。
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