Heavenly Promise 

文字数 730文字

ある日の妻との何気ない会話が私を支えてくれている。

***

「もし人生のどこか1箇所をリプレイ出来るとしたら、君はどこにする?」

洗い立てのお皿を寄越しながら、妻はこう教えてくれた。

「貴方に指輪をもらった日。何も変えず、もう一度同じ日を味わいたいかな」

「それ、リプレイじゃなくてリピートだよ。何か他の事でも、やり直ししたいこと無いの?」

答える前に、溢れた微笑み。続く言葉の温もりが、既に伝わるようだった。

「やり直したら、貴方に会えない人生になるかもしれないじゃない」

貴方の隣が私のお家になった日が、人生最良の日だと、私を抱きしめながら教えてくれた。背中に回された、水仕事で冷えきった手。愛しさに守られた私の体温に触れ、瞬くうちに熱くなっていった。


***


君の願いを叶えよう。私達の5周年記念に、揃いの指輪を買った。あの時ほど、光の粒は大ぶりではないけれど、あの時より、君の好みを熟知したつもり。 

指輪は、無事届きましたか。君の綺麗な指に、嵌めてみてもらえましたか。


ごめんね。また、この手で付けてあげたかったのに。愛してるって、永遠を誓いながら。

ごめんね、永遠の約束、できなかった。私の身体は、永遠には不向きだった。


リピートの願いは、君がこっちに来た時に必ず叶えるから。今はただ、私の不在に慣れて欲しい。他の誰かを隣に呼んでもいい。それが、君をそちらに留める支えになるならね。


私はいつも、そばにいるよ。君には、見えなくなってしまったけれど。
だからほら。君の記憶の中で寄り添うから、いつでも逢いにおいで。

君のこと、見守ってるね。天国からずっと。


Heavenly Promise

~I love you ever since we met, and forevermore~
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