第11話:サリーとの別れとスキー旅行

文字数 1,781文字

 今年の営業所の忘年会は、信州郷土料理の店「しづか」で、一次会をして、二次会を、スナック中町で、ゆかりママの所で、行う事になった。ここまでは、例年通りたっだのだが、そこへ珍客が現れた。その珍客とは、英会話教室のサリー先生だ。何でも、今年いっぱいで、カナダに帰るというので、その挨拶に来たと言うのである。 

 それを知ったゆかりママが、気を利かして、呼んだようだ。そして、村下が会社の仲間に、彼女を簡単に、紹介した。しんみりとした送別会にしたくないので、陽気に、飲んで、歌って大宴会となった。また、いつもの様にサリーは、かなり飲んで上機嫌だった。ついに村下の事を英会話学校でのニックネーム「ミスター・ノー」と呼び始めた。

 英会話教室で、サリー先生が、生徒に意見を聞くと日本人の生徒は、イエスと、最初に言ってから話し始めるの人が多かい。しかし、村下は、つむじ曲がりで、最初に、ノーと言ってから、話を始めるので、ついたあだ名が、「ミスター・ノー」なのだ。彼女の村下への第一印象は奇妙な日本のサラリーマンだと映ったらしい。

 しかし、親しくになるにつれ、率直にものを言う頼れる、お兄さんになったそうだ。そして彼女が、祖国、カナダに帰る理由を聞いた。すると彼女の恋人が、監獄から出所してくるからだと語った。詳しく聞くと、喧嘩で、怪我させた相手が、その後の再捜査をしてみたところ、お尋ね者であるとわかった。

 さらに、相手の方が、先に殴ってきたと言う事実も判明したと言うのだ。彼女の恋人の懲役5年が、帳消しになり、もうすぐ釈放されると言う判決が裁判所から連絡されたようだ。彼女は、ちょっと前まで中国人、韓国人、日本人の区別もできない様な、カナダ人だったそうだ。しかし、日本に来て、日本が、先進国である理由が、日本人と接して良くわかっとの言った。

 勤勉で人に優しい、良い人ばかりだったと言ってくれた。彼女の最後のスピーチは、とても面白かった。村下は、グラマーな女性がタイプで、サリーは、タイプじゃないと言った事をいつまでも根に持っていたようだ。この話は、みんなに受けた様で、彼女は自分のスピーチが受けたと思い、大はしゃぎだった。

 タクシーで、サリーを送って、帰ろうとした時、彼女が、運転手にちょっと待ってと言い、彼女が、少しかがんで、もたれかかるようにして村下をハグしてながらキスをしたのだ。その時のキスの味は、一生忘れないだろう。そんな思い出と共に新年を迎えた。今年も善光寺参りで、仕事始めとなった。それぞれ、初詣をして、各人、それぞれの願い事してきたようだ。

 その後、昼食をとりながら、村下が、今年の長野県の売上げは、昨日までの実績で、全国2位の伸び率である事を報告した。あと一歩で、トップになれるので頑張っていこうと、言うと、みんな、やる気満々だった。信州大学でも学会のスライドつくりにマッキントッシュが大活躍していた。我が社プロパーに質問も多く手際よく多くの先生に教えて差し上げた。

 そのため先生方から返ってくる反応も、すこぶる良く、また頑張って使うからねと、笑って、答えてくれる先生が、多くなったのが、心強かった。大学も、派遣病院も売上は順調だった。そんな時、仕事ばかりでなく家族サービスもしてよと長女が、言ってきた。また、長女が、白馬とか、すごいスキー場につれてってと、せがんできた。

 売り上げも好調なので、村下は、家族サービスで、今週末、白馬へ、スキーに行く事にした。
 その日は、朝6時過ぎに出発して松本市街地を抜けて豊科、安曇野に入った。左に、神々しい北アルプスの山並みを眺めながら、走って行った。ここ安曇野は、大王わさび農場、穂高神社、道祖神で有名であり、毎年、出かけていた。

 それに、私の大好きなお酒、大雪渓のふるさとでもある。水清く、りんご、そばも旨い、良い所なのである。やがて大町を過ぎ、仁科三湖「木崎湖、中綱湖、青木湖」を見ながら、走った。
 二十分ほどで、白馬さのさかスキー場についた。

 そして青木湖を眼下に見るコースで、何回も何回も滑った。パラダイス・ダウンヒルは、青木湖に吸い込まれていくような感じで、長く、素晴らしいコースだった。ここで、長女がスキーの腕を上げれば、いつかは、白馬八方、栂池、岩岳の本格的なスキー場に挑戦できるようになるかもしれない。
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