第18話: 松本市PTA総会で司会をした話

文字数 1,789文字

  松本市PTA総会について書く事にする。今年の秋、周りの山々が紅葉に染まる頃、郊外のY小学校で松本市のPTA総会が行われた。各学校のPTA会長、副会長、市のPTA役員、総勢六十人程度だった。まず、分科会に別れ、それぞれ討論形式、議題について話し合いを持った。村下の振り分けられた教室では、三人のPTA会長が、分担して運営する事となった。

 我がグループは、飯田さん「下越歯科大出身の歯医者さん」、下島さん「不動産屋の社長」と村下の3人だった。最初、担当、決めが、始まり、最初、下島さんが、私が書記をしますと言い、飯田さんが、僕は話し下手なので庶務全班をやりますという言った。下島さんが、あなたは話がうまそうだから司会と議事進行をして下さいと言った。

 話し合いで決めると言うより、もう既に、シナリオは、できていた様だ。特に、北島は、司会をするのに抵抗はなかったので了解した。村下がわかりましたと言うと、二人は、良かったと笑った。司会って難しいだよね、頼むねと、飯田さんが言った。後の雑用は、全部、やるから指示して下さいと言った。

 そこで、会議で、意見を述べる人の所へマイクを渡す事や必要な備品を用意する事をお願いした。必要資料、用具を集め、確認した後、分科会が始まった。まず、会議の進行役の紹介から始まって司会の挨拶を終え会議が始まった。議題が決まっていたので、それに、沿って話し始めた。最初、交通安全指導の方法と問題点など意見出て、それを書記の下島さんが書いた。

 中には、父母同士のいがみ合いなど関係ない話もあったので、やんわりと個人間で話し合って下さいと、しりぞけた。次に教師に対する意見「好き嫌いとか、化粧とか、言い方かきついとか、子どもが泣いて帰ってきたとか・・・」ほとんど、たわいのない事ばかりで、その都度、適当に処理した。

 終わりの方で、転勤者からの意見として小学校が閉鎖的で考えが古く現代の流れについて
行けてないと言う過激な意見も出た。内心そう通りと思ったが、そんな事は、おくびにも出さず個人的に思う事があれば、やはり各々の先生と調整する事が肝心ではないかと本心ではない玉虫色の発言を連発して煙に巻いた。90分で、丁度、終了する事ができた。

 村下は、うまくできたと内心思った。提出資料を作成し本部に提出して無事、終了。その晩、打ち上げで、飯田さんと下島さんと村下と、その地区の女性副会長3人の合計6人で、下島さんの行きつけのスナックへ、くり出した。まずは、皆で、乾杯し、飯田さんが、村下に上手な司会で滞りなく進行できて良かったと言ってくれた。

 下島さんも変な意見もかなりあったが、うまく交わしてくれ上手な司会だったとほめられた。副会長の好子さんが、うちの会長は、できる営業マンですからねと冗談をとばした。すると他の地区の副会長が、いい男だし羨ましいわと笑った。そして、下島さんが、口火を切って、懐メロの、歌謡曲を歌い始めた。ムードのある曲で歌い込んでる感じがあり上手だった。

 続いて飯田さんが、意外にもビートルズが好きな様でレットイットビーを歌い出した。そして村下が、サイモンとガーファンクルを歌うと、飯田さんに好評だった。副会長さんからは、日本の曲が聴きたいと言われた。そこで、がらっと変わってジュリーの勝手にしやがれを、村下が歌うと、嘘みたいに彼女たちがのってきた。

 そうすると、彼女たちが、なんと、キャンディーズ、ピンクレディーを歌いだすではないか。村下も、ジュリーの「時の過ぎゆくまま」とか、今夜は、邦楽で歌う事にした。この人たちは堅い人た達だと思っていたが、羽目が外れると、のりが、良いのに驚かされた。好子さんが、木綿のハンカチーフを歌って、うけた。

 そこで、村下も負けじと、フォーク「我がよき友よ」を歌った。その後、好子さんが、横須賀ストーリーを色っぽく歌ったのには、非常に驚かされた。日頃、几帳面そうで神経質そうなのだが、人は表と裏があるというのは、もしかしたら、こういう事をいうのかもしれない。0時が近づき、お開きとなった。

 男性二千円、女性千円でOKと下島さんが言った。まさか領収書を経費で、落とすんじゃないのと、黄色い声が、とんだ。領収書もらってないし、第一、経費で落とすなら、全部おごるよと笑って言った。タクシーで、好子さんと相乗りして帰った。
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