第13話:新居購入と営業所さがし

文字数 1,518文字

 その中でも冬場で、一番大変だったのが、ファンヒーターへの石油の給油だった。外に出て、凍える手で、屋外にある500リットルの灯油タンクのコックを回して給油するのだ。早朝の冷え込みひどい時は、マイナス10度、昼間でも、マイナスの気温の中、かじかんだ手での作業は、想像以上に過酷である。

 厳寒期は、その作業を最低、毎日。夜間もファンヒーターを連続運転し始める1月中旬から2月いっぱいは、2回、行う日も珍しくない。また、横浜時代には、経験したことがないが、リビングダイニングが16畳と広いので、業務用の大型ファンヒートを2台、運転していた。朝起きて、2台、同時に、運転し始めると、室内に気流が発生する。

 そのため新聞広告のような、軽い紙切れなどは、空中に舞い上がるのである。まるで冗談のような話にも聞こえるが、実際に起こったのだ。また、ある時、一番下の7歳の男の子が、何か、クレヨンの様な棒状の物を入れたのを知らずに、ファンヒーターを稼働したら突然、ファンが、温風ではなく、黒い煤が、大量に、舞い上がり、慌てて、コンセントを抜いた。

 しかし、時、既に、遅く、真っ白な部屋の壁が、煤で、広いリビング・ダイニングの広い壁に、黒い斑点模様にしてしまったのだ。仕方なく、業者に、白い壁の洗浄を依頼すると、洗浄だけでは、白くならないので、洗浄後、白いペンキで塗り直しと言われ、洗浄と塗りで20万円物費用がかかった。その他、風呂の横の着替え部屋にもファンヒーターを買い、全部で6台になった。 

 そうして新居での最初の冬は、大変だった。その後、会社から村下への電話で、今年の3月に、もう一つの念願であった松本営業所設立の許可が下りた。どこに相談するか迷ったが、地元の農協の家を購入した担当者から情報を聞く事にした。松本では、地元の銀行が、一流企業を選んで銀行の持ちビルに入居させる場合が多い。

 その銀行の持ってる事務所が、一番格上だと教えてくれた。そして担当者に、調べてもらうと一室、空きが出そうだとの情報をもらった。早速、その銀行へ出向くと、会社名を聞かれ、上場の件を聞かれ、けんもほろろに断られてしまった。そこで農協の担当者に連絡すると部長同行で、掛け合ってくれるとの返事だった。

 3人で、再度、銀行を訪ねた。農協の部長が、口火を切り、ここにいる村下君は、松本に赴任して5年で、業績を上げて会社に認められ営業所を設立許可が出た。そんな将来性のある会社を応援するのが、君たち地方銀行だろと言い切ってた。部長が、村下さんは、分譲地の一角の一軒家の住宅を最近買ったと話してくれた。

 その時、彼の会社の事を調べたが、堅実な中堅の製薬企業だと言ってくれた。優良企業でも、上場してない会社は、いくらでもあるよ。そんな事も知らないのかと、銀行の担当者に言ってくれた。ちょっと待って下さい上司に聞いて来ますと言うのだけで出て行った。10分後、銀行の上司があらわれ、調べましたよ、確かにありました。業績も良いですねと笑顔になった。

 今度は、是非、入居して下さいと、言ってきた。将来性のある中堅企業を応援するのは、銀行の使命ですからと言い、手続き書類を、お渡ししますから、提出して下さいと告げられた。地方の農協って、すごい力がある事を思い知らされた。農協の方々に、お礼を言って別れた。 

 引っ越して、近くの小学校と保育園に入学、入園の手続きを取った。女房が、私も、ローン返済のため、働かかなきゃ大変でしょと言うことになり、近くの工場団地の大手電機メーカーの工場の下請けの会社に就職した。朝8時に、私が一番下の息子を保育園に送り、すぐその後、小学校の娘と、女房が、家を出る。
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