第１６話：村下小学校のＰＴＡ会長に
文字数 2,059文字
今年は、娘の通う小学校のＰＴＡ会長選挙。そして、村下の住んでいる地域の担当で、この地域からＰＴＡ会長を選出する年。もう少し詳しく説明する。この小学校の学区は、周辺の３つの地区からなっている。Ａ地区は、田んぼと畑が多く、農家と、農家所有の数件のアパートと、そこには近くの工場地帯に通う人が多く住んでいる。
Ｂ地区、県営住宅中心の地区で、普通に商店もありスナックも数件ある地域。Ｃ地区は市営住宅と雇用促進住宅があり、いわゆる低所得層のエリアでブラジルや東南アジア系の人々も多い地域。その３地区の持ち回りでＰＴＡ会長を選出していた。村下の住むのは、Ａ地区で畑を大規模に農協が買い取り整備して農地を宅地に変更した新興住宅街の中のモデル住宅。
洋風、和風の合計７件建っている。近くに住人は、松本市のお土産屋の社長の別宅、近くの工場の工場長の家、近くでパン屋を経営してる人、燃料関係の会社の重役、など、一応、地方の富裕層が多い。今年は、Ｃ地区から、Ａ地区への担当交代になる年。地区会長が、その話を一軒づつ話して回っていた。村下家も娘二人が通っていたので訪ねてきた。
正直に、営業で県内を飛び回っているので忙しくてＰＴＡ会長は、できないと断った。しかし２週間後、また町会長が別の役員さん２人を連れてやってきた。どうしてもＰＴＡ会長をやってくれとの話だ。詳しく訳を聞くと他の人達は、商売人や農家で話がうまくできない様だ。その他の会社の上役さんは、この地区でなくて実家が、市内中心部で人脈がないと述べた。
そのためできないと断られたそうだ。村下が、忙しくて、出られない時は、どうするのか聞くと、優秀な副会長として農家の奥さんで看護婦をしてる人をお願いしてるから、どうしても、あなたが出られない時には、替わりに彼女に出てもらうという話をした。村下が、県外の者なので、まずいでしょと言うと、かえって、しがらみがないから良いと語った。
とにかく奥さんと相談してから答えると１週間で、考えさせてもらう事にした。後から、わかった事だが、この通り７軒の自治会の会長を昨年、持ち回りのため会長をした時、弁舌がたつ人だと余計な事を町会長に漏らしたのがＰＴＡ会長候補になった原因だった様だ。犯人は、誰だかは、未だにわからないが、小学校にお子さんがいる家は、この通りでは三軒である。
村下が、その中の１人である事は、間違いない。何か、子どもが人質になってる様な気がして、少し腹が立ってきた。以上の事で、断る理由が、なくなり、やむなく承知せざるを得なくなった。１週間後、地区会長が、ＰＴＡ副会長候補の好子さんを連れてやってきた。珈琲と紅茶を出して話し合いをした。断りの話をしていた時、好子さんが、珈琲が好きな様で質問し始めた。
これサイフォン出入れてるのと議題と全く関係ない事を言うのでサイフォンは、味が薄くなるので濃くでるドリップを使ってると言うと、おいしいわねと言った。だんだん話が、本論からはずれていくのでまずいと思いながらも、ついつい、のせられてしまったのである。紅茶は、変わった味ですねと言うので、これは、「アールグレイ」と答えた。
紅茶ってダージリンって思ってたわと、通りでトロピカルな味というか美味しそうな味がするのねと笑った。でも、おいしいわねと喜んでくれた。次に、話は変わり家を見せてと言うので一階は、畳部屋は、１０畳１部屋だけで、他は、フローリングなのねと言った。もし良かったら他も見せてと興味ありげに言うので女房に案内させて地区会長と話を進めた。
しかし二階のバルコニーで歓声があがったり風呂場でも騒がしく話をするので話を聞く気分ではなくなった。最終的に、村下が、会合に出席できない時は、あらかじめ言っておけば、副会が、代わりに出ると言う事で、次期ＰＴＡ会長を承諾した。
その後も好子さんは、完全に住宅展示場見学みたいに、シャンデリアや、吹き抜けで歓声をあげていた。でも業務用の大型ファンヒータ３台と、普通のファンヒーター２台では、冬場の灯油代が大変ねとか、こたつは、ないのかとか、全く関係のない話に終始していた。最後は、一階の二重サッシを見て、すごいけど、重くて、手が痛くなりそうと、全く余計なお世話だ。
だた、彼女は、家の見学会にきたみたいに、はしゃいでいるのを見て微笑ましかった。好子さんが、最後に医療関係の営業さんって、みんな、やりてなんだからＰＴＡ会長だって簡単にこなせるわよと意味ありげに微笑んだ。５月下旬、小学校のＰＴＡ総会が開かれ、シナリオ通りの進行と、お話をして無事やり終えた。
校長、教頭からは指示された事を必要があれば、各地区に出向いて小学校の父母に、指示を徹底させて下さいと言われていた。副会長の好子さんからは、半年後の１０月、松本市のＰＴＡ総会がありますので、それが一番大切な行事。松本のＰＴＡ総会でも、お決まりの事を話せば良いだけです。決して出過ぎた真似は、しないで行きましょうと、副会長から念を押された。
Ｂ地区、県営住宅中心の地区で、普通に商店もありスナックも数件ある地域。Ｃ地区は市営住宅と雇用促進住宅があり、いわゆる低所得層のエリアでブラジルや東南アジア系の人々も多い地域。その３地区の持ち回りでＰＴＡ会長を選出していた。村下の住むのは、Ａ地区で畑を大規模に農協が買い取り整備して農地を宅地に変更した新興住宅街の中のモデル住宅。
洋風、和風の合計７件建っている。近くに住人は、松本市のお土産屋の社長の別宅、近くの工場の工場長の家、近くでパン屋を経営してる人、燃料関係の会社の重役、など、一応、地方の富裕層が多い。今年は、Ｃ地区から、Ａ地区への担当交代になる年。地区会長が、その話を一軒づつ話して回っていた。村下家も娘二人が通っていたので訪ねてきた。
正直に、営業で県内を飛び回っているので忙しくてＰＴＡ会長は、できないと断った。しかし２週間後、また町会長が別の役員さん２人を連れてやってきた。どうしてもＰＴＡ会長をやってくれとの話だ。詳しく訳を聞くと他の人達は、商売人や農家で話がうまくできない様だ。その他の会社の上役さんは、この地区でなくて実家が、市内中心部で人脈がないと述べた。
そのためできないと断られたそうだ。村下が、忙しくて、出られない時は、どうするのか聞くと、優秀な副会長として農家の奥さんで看護婦をしてる人をお願いしてるから、どうしても、あなたが出られない時には、替わりに彼女に出てもらうという話をした。村下が、県外の者なので、まずいでしょと言うと、かえって、しがらみがないから良いと語った。
とにかく奥さんと相談してから答えると１週間で、考えさせてもらう事にした。後から、わかった事だが、この通り７軒の自治会の会長を昨年、持ち回りのため会長をした時、弁舌がたつ人だと余計な事を町会長に漏らしたのがＰＴＡ会長候補になった原因だった様だ。犯人は、誰だかは、未だにわからないが、小学校にお子さんがいる家は、この通りでは三軒である。
村下が、その中の１人である事は、間違いない。何か、子どもが人質になってる様な気がして、少し腹が立ってきた。以上の事で、断る理由が、なくなり、やむなく承知せざるを得なくなった。１週間後、地区会長が、ＰＴＡ副会長候補の好子さんを連れてやってきた。珈琲と紅茶を出して話し合いをした。断りの話をしていた時、好子さんが、珈琲が好きな様で質問し始めた。
これサイフォン出入れてるのと議題と全く関係ない事を言うのでサイフォンは、味が薄くなるので濃くでるドリップを使ってると言うと、おいしいわねと言った。だんだん話が、本論からはずれていくのでまずいと思いながらも、ついつい、のせられてしまったのである。紅茶は、変わった味ですねと言うので、これは、「アールグレイ」と答えた。
紅茶ってダージリンって思ってたわと、通りでトロピカルな味というか美味しそうな味がするのねと笑った。でも、おいしいわねと喜んでくれた。次に、話は変わり家を見せてと言うので一階は、畳部屋は、１０畳１部屋だけで、他は、フローリングなのねと言った。もし良かったら他も見せてと興味ありげに言うので女房に案内させて地区会長と話を進めた。
しかし二階のバルコニーで歓声があがったり風呂場でも騒がしく話をするので話を聞く気分ではなくなった。最終的に、村下が、会合に出席できない時は、あらかじめ言っておけば、副会が、代わりに出ると言う事で、次期ＰＴＡ会長を承諾した。
その後も好子さんは、完全に住宅展示場見学みたいに、シャンデリアや、吹き抜けで歓声をあげていた。でも業務用の大型ファンヒータ３台と、普通のファンヒーター２台では、冬場の灯油代が大変ねとか、こたつは、ないのかとか、全く関係のない話に終始していた。最後は、一階の二重サッシを見て、すごいけど、重くて、手が痛くなりそうと、全く余計なお世話だ。
だた、彼女は、家の見学会にきたみたいに、はしゃいでいるのを見て微笑ましかった。好子さんが、最後に医療関係の営業さんって、みんな、やりてなんだからＰＴＡ会長だって簡単にこなせるわよと意味ありげに微笑んだ。５月下旬、小学校のＰＴＡ総会が開かれ、シナリオ通りの進行と、お話をして無事やり終えた。
校長、教頭からは指示された事を必要があれば、各地区に出向いて小学校の父母に、指示を徹底させて下さいと言われていた。副会長の好子さんからは、半年後の１０月、松本市のＰＴＡ総会がありますので、それが一番大切な行事。松本のＰＴＡ総会でも、お決まりの事を話せば良いだけです。決して出過ぎた真似は、しないで行きましょうと、副会長から念を押された。
