第4話:なじみの店、家族で飛騨高山へ

文字数 1,740文字

 タクシーで5分、駅前と一番の繁華街の中間にある商店街の中に、その店、スナック中町が、あった。ゆかりママが、今晩は、新しいお客さんを連れてきたわよと村下を紹介してくれた。お客さんは、一組だけで離れた席で話する事にした。私が、ジャパン製薬の村下ですと挨拶すると、その店のママが、あけみと申しますと名乗った。

 薬屋さんですかと聞かれ、そうですと答えた。信州大学にも行ってるのと聞かれ、ええと答えると、あけみママが、信州大学整形外科のA教授の奥さんと、お友達なのよと、教えてくれた。A教授はテニスやゴルフがうまく、運動神経抜群なのよと話してくれた。その奥さんも、元、テニスの国体選手だと教えてくれた。彼女も、その奥さんの仲間で国体に出たと話した。

 でも「あけみママ」は、肘を痛めて、今は遊びで、たまにやる程度と語った。私が、実は、その診療科が、我が社にとって一番のお得意さんだと言うと、それなら話は早いと驚いていた。ただ信州大学病院の先生が来る事は、めったにないけどねと笑った。

 ゆかりママが、何だ、それで決まりね、村下さん「あけみママ」を宜しくと言い、ご贔屓にして、この店を使って下さいねと笑っていた。「はるみママ」は、「ゆかりママ」に、お客さんを紹介して本当にありがとうと、お礼を言った。

 「あけみママ」の話が始まり、最初、ここは競合店も少ないし、交通の便も悪くなく、人通りも多いので、開店当初、繁盛するかと思って店を始めたが、人の流れが多い割に、お客さんが少なく、苦労したと話した。

 駅前の安い居酒屋、スナックに、お客さんが流れたり、仕事の接待関係は、会社の事務所の多い一番街の有名な店に集まって、ここを訪れる、お客さんが少なくて困まり果てていたと告げた。この状態が、あと一年したら店をたたもうと思っていたそうだ。

 それを聞いていた、清水さんが、地方の都市って封建的だからねとつぶやいた。だから、新しいエリアが、なかなか繁盛しないんだ。それにしても「あけみママ」は、苦労したんだね。清水さんが、僕も、ここにも今後、顔出すよと言った。ゆかりママは、笑いながら、あまり、浮気しちゃ駄目よと笑いながら言った。

 村下が、業績を伸ばして、この地に、新しく営業所を設立したいと思っているので、宜しくと、「あけみママ」と「はるみママ」に、語った。彼女達は、責任重大ねと笑顔で言った。「あけみママ」が、私もできるだけ協力するからねと言ってくれた。そこで、早速、会社名のボトルと個人名のボトルとキープした。

 また近いうちに会社のメンバーと一緒に飲みに来ますと告げて精算して帰った。その後、テニスを通じて大学の先生と仲良くなり、この店を何回も使う事になるとは、その時、想像できなかった。人の出会いって本当に大切なんだ。

その後、村下は、相変わらず、真面目に仕事に打ち込んだ。やがて、松本にも遅い春が終わり、
夏が訪れた。そして7月、村下は、久しぶりに家族サービスを計画した。パジェロ、ディーゼルターボに家族5人を載せ、松本から松本電鉄に沿って西に向かい、新島々、安房峠を抜けて、奥飛騨温泉郷に入り、飛騨高山へ行く、2泊3日の旅行を計画した。

 途中で、ゆっくり温泉に、つかるという計画である。当日の朝は、早く、出発した。下原スイカで有名な波田町を抜け、野麦街道を走り、稲核ダムの人造湖を右に見て、梓湖に突き当たって右折して飛騨地方に入る。安房峠を抜けた所が、平湯温泉郷だった。ここで、一休みする事にした。旅館で昼食をとり、そこの温泉で、湯につかった。

 山に囲まれた露天風呂は、まさに、山に抱かれた温泉といった風情だった。その晩は、その温泉宿に宿泊し、翌朝、朝風呂にも入った。朝食後、10時過ぎに、出発して、飛騨高山まで、走り続けた。そして、昼頃、飛騨高山についた。予約しておいた、宿に、チェックインした。その後、高山の市内を散策した。城下町の風情が残る街並みが、素敵だ。

 昼食は、お目当ての飛騨牛を家族で食べに行った。確かにうまいが、意外に値段も高く量も多い。そこで、家族5人で2人分の飛騨牛のセットを頼んで、分け合って食べた。村下は高山ラーメンの方も、食べたかったので、食堂をはしごして、食べる事にした。
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