第20話:サブプライム問題とリーマンショック

文字数 1,690文字

 変圧器火災や微量の放射能漏れなどのトラブルが発生。原子炉本体に大きな異常はなかったが、建屋や消火配管、タービンなど広範囲に損傷があった。また、自衛消防組織の不備や情報伝達の不手際、断層の過小評価が重なった。各電力会社も危機管理体制の整備や周辺地盤の再調査などに追われた。国際的な関心も高く、国際原子力機関「IAEA」の調査団も派遣された。

 一方、米国では、低所得者向け高金利型「サブプライム」住宅ローンの焦げ付きが多発し、これをきっかけに世界の金融市場が大きく動揺した。リスクに対する警戒感が急速に高まり、8月以降、信用の収縮、株価急落、ドル安などが一気に加速。ローン債権を証券化した金融商品に投資していたヘッジファンドや金融機関は相場の急落で巨額の損失を計上。

 資金繰り難に直面、一部は破たんに追い込まれた。米国や欧州の中央銀行は市場に巨額の資金を供給。米国は利下げ、英国は住宅ローン会社への緊急融資に踏み込み、事態の沈静化を図った。これまでのところ、実体経済に大きな影響はないものの、サブプライム問題を発端とした市場混乱を理由に2008年の景気見通しは米国、欧州、日本いずれも下方修正された。

 2008年が明け、松尾、沢村と山沢健吾は、家から近い、伊勢山皇大神宮に、初詣に行き、家族の安全と投資の成功を願ってきた。この頃には、みなとみらい駅が、賑わい初めた。そして、桜木町から駅の近くには、パシフィコ横浜が、繁華街になりその周辺のMMタワーズという超高層マンションが、数棟完成に、住民が増えた。

 みなとみらい線も、終点の元町中華街駅まで、開通して、横浜南東部に葉、まさに、近未来商業地区と高層マンション群が、ほぼ完成した。また、みなとみらい線が東横線や多く電話が相互乗り入れを開始し、週末、祝祭日は、活況を呈するようになった。

 5月12日、中国四川省を震源とするマグニチュード8.0の大地震が発生した。死者・行方不明者が8万人超の大惨事となり、北京五輪を控えた胡錦濤指導部に大きな衝撃を与えた。最も大きな被害を受けたのは、当時授業中だった子供らで、校舎倒壊で6500人以上が死亡。

 震災直後には内外メディアの自由な取材を認めるなど異例の政府の対応が、注目された。背景には校舎建設費を安く抑えるための手抜き工事という根深い問題が潜んでいた。日本の国際緊急援助隊が他国に先駆けて駆け付け、中国の対日感情好転につながった。

 11月26日、インド西部ムンバイの高級ホテルや鉄道駅を狙って、銃乱射や爆発を伴う同時多発テロが発生。武装した男らが、ホテルを2日以上占拠。治安部隊が鎮圧するまでに160人以上が死亡。三井丸紅液化ガスの津田尚志さんも犠牲になった。パキスタンのイスラム過激派ラシュカレトイバや同国の情報機関、三軍統合情報局の関与が疑われた。

 そのため、インドのムカジー外相が「パキスタンの一部分子の犯行」と激しく非難するなど核保有国同士の緊張の高まりに懸念が広がった。そのため、インドとパキスタンの関係悪化が心配され、アメリカのライス国務長官が、インド、パキスタンを訪問し、両国首脳に自制を要請した。

 しかし、この年、6月14日8時43分頃、岩手県内陸南部を震源地とするマグニチュード7.2の岩手・宮城内陸地震が発生し、宮城県栗原市と岩手県奥州市で震度6強を観測。死者・行方不明者は両県と福島、秋田各県で23人、重軽傷者は約450人。住宅被害は全半壊が170棟を超えた。避難指示・勧告が一部地域で続き、被災者は仮設住宅や親族宅などに身を寄せた。

 アメリカでは、昨年来、危惧されていた低所得者向け高金利型「サブプライム」住宅ローンの焦げ付きが多発した。これにより、米欧金融機関の経営が急速に悪化、金融危機に発展。9月には、米証券大手リーマン・ブラザーズが、経営破綻。

 その結果、危機が深刻化。議会で金融安定化法案が否決されると米株価が暴落。ダウ工業株30種平均は史上最大の下落幅777ドルを記録した。10月に修正後の法案が成立したものの、株価は約4年ぶりに1万ドルを割り込んだ。
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