第18話:山沢が貿易会社に就職

文字数 1,625文字

 山沢は、英語塾の手伝いの仕事以外の時間は、投資のための統計、確率など多くの数学の本を読みあさっていた。そして、注目する株のチャート、日別の価格のデータをインターネットで調べて、それらのデータをまとめて作業に、ほとんど費やしていた。その熱心さを見て、松尾と沢村さんは、感心していた。

 そして2004年を迎えた。4月6日早朝、証券会社の担当者から電話が入り、ヤフー株の気配値が140万円と高く、売りと言われ、松尾と山沢が、全株、成り行きを指示した。すると、2001年購入時から、毎年のように3月と9月に2倍の株式分割を5回継続し株数が32倍に増えていた。

 つまり松尾のヤフー株10株が320株、山沢のヤフー株2株が、64株になっていた。その結果、松尾の税引き後利益が35400万円で、山沢が、7070万円となった。それにより松尾の口座残金が、約6.6億円、山沢の投資残金が7200万円となった。山沢は、すぐに借りた500万円を松尾に返して6700万円を手にした。

 そして、株の勉強しているうち日本5大商社、三菱商事、三井物産、住友商事、伊藤忠、丸紅に注目。その中でも割安の丸紅に目をつけた。この話を山沢は、松尾に伝えると、松尾は、なるほど、これは面白いかもしれないと語った。

 その後、2004年8月6日、気配値235円を見て、山沢と松尾は、成り行き買い注文を出し10万株、2350万円で購入し山沢の残金が4250万円となり松尾の残金は。約6.2億円となった。この頃、山沢は、英語検定1級とTOIEC850点を取得していた。

 その資格を持って、自宅から徒歩で15分の横浜港近くの小さな貿易会社、NM貿易を訪問して、欧米からの輸入品が多く、朝10時から18時前の勤務時間だと聞き自分の履歴書を持参して応募した。4日後の19時に試験をすると言われ、担当者の江藤武史さんに、御礼を言って失礼した。

 試験当日、行くと、英文和訳、和文英訳と英語での面接を試験をすると言われ、約90分かけて、試験を受けた。終了すると、英語は、ほぼ完璧だねと言われて、給料は、どの位、欲しいと言われたが、逆に、どの位、出していただけますかと聞き返した。月収20万円で、その年の純利益によって、年間ボーナスを考えると担当者から聞かされた。

 おおむね年収240万円で、景気が良い年は、どの位ですかと聞くと、最大でも400万円までかなと担当者が、話した。仕事内容はと聞くと、基本的には、英文の書類作成と、英語の手紙の翻訳が、中心で、英語での売り込みなど交渉はないと語った。了解しましたと、話すと、合否の結果は、いつもらえますかと、山沢が担当者に聞いた。

 すると、この条件で良ければ、採用すると語った。そこで、それでは、是非、お願いしますと山沢が答えた。通勤時間はと聞かれ、徒歩15分と話すと、そりゃ良いと笑い、来週月曜から来てと言われた。その話が終わると、担当者と握手を交わして、部屋を後にした。山沢は、家に帰り、松尾と沢村さんに、この話をすると、そりゃ良かったと喜んでもらった。

 そして、翌週、NM貿易に出勤すると江藤武史さんが、私はこの事務所の所長だと言い、出勤簿、仲間の富島庄司、安村章子、課長の池松智子さんを紹介してくれた。この時、池松さんが、あなたパソコン得意と聞かれ、えーと答えると笑顔になった。パソコンに強い人がいなくて困っていたのよと喜んでくれた。

 江藤さんが、早速、この書類に目を通して、日本語に翻訳してくれと言われた。それに対して、最近、良い翻訳ソフトがあるから、それで粗翻訳したものを作成して訂正した方が、仕事の効率が良いと話した。

 和文英訳も同じようにして、日本語を英語に粗翻訳したら飛躍的に効率が上がると提案した。 わかった翻訳とパソコンのソフトのことは、君に依頼すると言った。早速、この書類の和文英訳、英文和訳をやってくれと、分厚い紙の束を山沢の机の上に置いた。
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