第21話:ETF購入と日航と米国自動車大手の破綻

文字数 1,654文字

 リーマンショックに端を発する世界的な経済危機は新興国にも波及。主要中央銀行による同時利下げ、金融機関への公的資金注入、市場への資金供給などが講じられ、金融サミットで景気てこ入れ策が合意されたものの、世界経済は「大恐慌以来」の深刻な景気後退に陥るとみられた。

 2008年、日本の株式市場でもETF「上場投資信託」の発売が、予想されていた。そして最初に、SPDRゴールドシェアと言う名の金「ゴールド」の価格に連動したETF「上場投資信託」が、6月末から取引開始となった。これは、金「ゴールド」の直接取引のように高い取引手数料かかからず、日本の株式市場が開いている間は、随時、売買できる利点が大きい。

 この頃、松尾は、資産を増やしていたので、投資を中止していたが、山沢は、継続して株式の勉強をしていたので、SPDRゴールドを買うつもりで、上場初日、2008年6月30日から、その値動きを注視していた。まずは、様子見から始めた。発売当初、1万円弱から始まり、9千円を割り買おうか迷ったが値動きが安定しないので様子見を継続。

 すると3回目の値下がりを始めた。そして8000円を切ったら買いを入れる心の準備を始めた。9月11,12日と7000円台に入ったが、売買高が小さいので、市場が迷っていると考え、も少し様子見を継続。すると10月24日金曜、売買高が膨らみ、価格が急降下した。投げ売りと判断し、買いが近いと身構えた。

 その後、翌週月曜10月27日、8時半、SPDRゴールドの気配値が6720円と出ていたので、5千株成り行き買い注文を出すと9時に3360万円で購入できた。その結果、投資残金が10790円となった。翌、10月28日、8時半、SPDRゴールドの気配値が6800円と出ていたので、5千株成り行き買い注文を出すと9時に3400万円で購入できた。

 それにより投資残金が、7390万円となった。やがて、冬になり2009年を迎えた。この年は、金融危機に端を発した世界同時不況が、電機や自動車など輸出企業の業績を直撃。需要の激減で、2009年3月期の連結決算で電機大手8社は合計2兆円超の純損失を計上。トヨタ自動車も純損益が2兆円以上悪化し、約4369億円の赤字に転落。

 日本の各社は過剰な在庫の絞り込みに加え、経費の圧縮を迫られた。ソニーが1万6000人の削減に踏み切るなど、雇用不安は非正規労働者だけでなく正社員にも波及。春闘では未曽有の危機を乗り切るため、ベースアップを見送り、さらに、電機大手の様に定期昇給を凍結した。急激な業績悪化のため大手企業のトップ交代も増えた。

 2008年秋に起きた世界規模の金融危機「リーマンショック」の直撃を受け、2008年第4四半期と09年第一四半期の実質国内総生産は前期に比べ年率換算でそれぞれ10%、12%の大幅減。2けた減は戦後最大の落ち込みを記録。2期連続の2けたマイナスは戦後最悪。主な要因は輸出と生産の急減。

 これによって企業収益が悪化し、雇用不安や賃金の低下で個人消費も冷え込んだ。輸出の回復や政府の景気対策による政策効果で今年4~6月期は年率2.7%増に持ち直し、その後もプラス成長が続いているが、内需主導の本格回復には程遠い状況だ。そんな中、日本航空は昨秋の金融危機後に業績が一段と悪化、経営危機に陥った。

 政権交代後、鳩山内閣は自主再建路線から政府主導による再建に方針転換。前原誠司国土交通相は就任直後の9月、直轄の専門家らを送り込み、抜本的な再建策を検討させた。しかし、日航の財務状況は想定以上に悪化しており、再建の主導権はその後、公的組織「企業再生支援機構」に移った。企業再生支援機構は年明けにも支援の可否を決断する見通し。

 しかし、収益低迷が続く中、手厚い企業年金などの負の遺産は重く、再建の道筋を遠いと考えられた。政府は再建を後押しするため、融資保証などの支援方針を表明。公的支援に対する国民の理解を得るため、企業年金の強制減額も考えているようだ。
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