第23話:東日本大震災、原発事故、円最高値

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 その後、2011年となった。今年も松尾、沢村と山沢が、伊勢山皇大神宮に初詣に行き、家内安全と投資の成功を祈願してきた。ところが、2011年3月11日、14時46分、宮城県沖で国内観測史上最大のマグニチュード9の巨大地震が発生。15時半前後には大津波が次々と沿岸部を襲った。東北での死者は約1万6千人、行方不明者は約3500人に上った。

 東電福島第1原発では電源が止まり原子炉は冷却機能を喪失。核燃料が溶け1~3号機は炉心溶融が起きた。1、3、4号機は水素爆発により原子炉建屋が大破。放射性物質が大量に放出される最悪の事態に陥った。津波の勢いは激しく、家屋や港湾、工場施設などを破壊。政府の試算では、地震・津波による住宅などの直接的被害は16兆9千億円に達した。

 ピーク時には約47万人が避難し、国内外から支援の手が差し伸べられた。原発事故に見舞われた福島県では警戒区域「半径20キロ」への立ち入りが制限された。その後、放射性物質に汚染された農産物が関東などでも見つかるなど農林水産・畜産業も大打撃を被った。廃炉するには、途方もない長時間がかかると考えられた。

 東電福島第1原発事故などの影響で、各地で電力供給不足が深刻化。東電管内では震災直後、地域ごとに送電を一定時間止める「計画停電」を実施。電力需要が高まる夏場の7月1日~9月には、政府が東電と東北電力の管内で「使用制限」を発動。対象企業だけでなく個人も節電を要請。一方、定期検査で運転を停止した原発の再稼働に地元自治体では、反対意見が続出。

 地震・津波の危険性が指摘された中部電力浜岡原発は5月、政府の要請で運転停止に追い込まれた。全国54基の原発のうち年末時点で稼働したのは6基。原発依存度の高い関西電力と九州電力の管内では、供給不足をカバーするため冬場の節電目標を設定。東日本大震災や欧米経済の先行き不安で円相場が進行、輸出企業の海外移転による国内産業の空洞化に懸念が強まった。

 最初の円急騰は3月17日。震災前は1ドル82円前後だった円は、投機筋の思惑買いで76円25銭の最高値。翌日に先進7カ国は11年ぶりの協調介入に踏み切った。その後も日米金利差の縮小観測や欧州債務危機を受け、ドルやユーロを避けた投資資金が比較的安全とされる円に向かう流れが継続。この円高で、松尾が、山沢に米ドルを買おうと告げた。

 そして、76円で100万ドル「7600万円」ずつ購入し、山沢の残金が6900万円、松尾の約6.2億円となった。2011年10月31日には一時75円32銭を付けた。政府・日銀は8月に続いて単独で円売り介入を実施。介入額は1日としては最大の7兆7千億円程度と推計されているが円高基調に大きな変化は、なかった。

 この地震で、マンションの部屋は、散乱したが、大きな事故が、起こらず、マンションの周りの土地の液状化減少も見られなかった。3月13日、松尾が、山沢に金はできたから、それを減資にして社会福祉NPOを立ち上げて、東日本大震災の復興やこれから起きてくるであろう社会問題に、手をさしのべていこうと言うと山沢も沢村さんと金沢さんも同意した。

 このため、山沢は、勤めていた輸入関連の会社に辞表を提出して10月退社した。
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