第5話:松尾と沢村の旅行後、同棲

文字数 1,647文字

 そして、4月下旬、松尾が、沢村さんに一緒に旅行に行かないと誘うと良いわよと言われた。そこで、熱海の温泉に2泊3日で出かけた。ホテルは、部屋に風呂のある豪華な部屋を予約して出かけた。熱海駅に着くとホテルのバスが来ていて、約10分でホテルに到着して、最初に、ホテル自慢の海の見える大浴場へ向かった。

 その後、タクシーで、来宮神社へ行き、大楠の木をまわり、良い運気をもらってきた。そして、しばらく、神社の境内を散策して、夕方、ホテルに戻って、18時半、夕食を用意してもらった。その料理の目玉は、大きな金目鯛のにつけと新鮮な刺身だった。ビールで、乾杯して、料理を食べ始めると沢村さんが美味しいと喜んでくれた。

 その晩は、かなり飲んで、22時には、床について、すぐに寝てしまった。翌朝、松尾が、先に起きて、少しして、沢村さんが起きてきて、昨晩、俺、いびきをかかなかったと聞くと、私も疲れていたので、すぐにぐっすり寝てしまい、気が付かなかったわと、大笑いした。朝食の前に、熱海の海の近くの公園を散策して8時に部屋に朝食を運んでもらった。

 ダシのきいた味噌汁が冷えた胃袋に最高で、焼き魚も実に美味しくいただいた。この日は、美術館見学とアカオ・ローズガーデンを訪れた。熱海の町中を散策して、昔懐かしい遊技場を回って、童心に帰ってゲームをしたりして時間を潰し、昼食は、肉料理を食べた。14時過ぎに、熱海遊覧船で、手軽なクルージングを楽しんだ。帰り道、酒屋で美味いブランデーを買った。

 そして16時過ぎに部屋に戻り、大浴場に、入って温まって帰って来た。部屋に戻り、しばらくすると夕食が運ばれてきた。今夜は、買ってきたブランデーの水割りで、ちびちび飲んで、美味い魚を食べながら、松尾が、アメリカで投資をしていた話を語り始めた。その話を興味深く、沢村さんが聞いて、凄いわねと驚いていた。

 ファンド投資で、稼いだ金額を聞いて、大金持ちじゃないのと言った。続けて、私のパトロンになって欲しいくらいだわと言うと、顔を赤らめた。いいよ、と松尾が言うと、冗談よと、沢村さんが笑った。松尾が、中学時代、君のこと好きだったと言うと、嘘が上手ねと言い、アメリカ人の彼女にも、その手でくどいなのねと大笑いした。

 そんな話をしていると、2人とも妙な気持になって、その晩は、仲良くなって、夜遅くまで、逢瀬を楽しんで、疲れ切って、寝てしまった。翌朝、起きると、2人とも何だか気恥ずかしそうな感じになり、よそよそしくなった。そんな時、ホテルの人が朝食お持ちしましたと部屋に入ってきた。そして、2人は、無口になり、朝食を食べ終わり10時前、ホテルの清算を終えた。

 松尾が帰ってくると、沢村さんが、1人、おいくらと聞くので、良いよ、俺が出すからと言った。それじゃ悪いからと言うと、まだ、稼いだ金があるから心配するなと、告げた。これを聞き、ありがとう、これからもよろしくねと、言ってくれた。その後、荷物をもって宿のバスに乗り、熱海駅から東海道線で、松尾は、沢村さんと横浜駅で別れ、蒲田へ帰った。
 
 この年、巷では、バブル崩壊の不況が深刻になってきた。それを現すように、日経平均株価が、15000円を割った。松尾は、ソニー株の下値が近いと予想していた。その後、1992年8月28日、早朝証券会社の担当者から電話が入りソニー株の気配値が3600円と言われ、1万株成り行き買いを入れ、すぐに3600万円で買え、口座残金が1200万円となった。

 涼しくなってきた10月、松尾が、沢村さんに一緒に住もうと言うと、少し考えさせて欲しいと言われた。翌週、電話で、これから将来のことを考えると、結婚という形ではなく、独立した形で、同棲することにしたいと告げた。

 これに対し松尾も今まで通り独立した個人として、共に暮らしていきたいと言い意見が一致した。松尾が、どこに住みたいと聞くと、お金持ちだから横浜の海が見える山下公園まですぐ歩ける頃が良いわと嬉しそうに言った。
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