第12話 soft as snow(but warm inside)

文字数 619文字

はるちゃんと出会ったのは横浜から栃木県に引っ越してきて、始めたバイト先の居酒屋だった。
一目で好きになった。
かずえちゃんにフラれちゃったみたい。
わたしは横浜に大学生の彼が居たし、はるちゃんにもみんなにもそれは言ってたけど、はるちゃんと仲良くなりたかった。
はるちゃん目当てのお姉さんたちも、たくさん居たんだよ。
それをこんな可愛くない、で、当時は垢抜けなかったわたしがどう落としたか、気になるでしょ?
それは、運命の悪戯。
はるちゃん、車買ったからってバイト中仲良くしてたわたしをドライブに誘ってくれた。
冬のある日、珍しく雪が積もった。
待ち合わせの時間。
来ない。
1時間、2時間。
来ない。
当時は携帯なんてないから、はるちゃん何度も家に電話くれたみたい。
わたしは、寒かったけど待ったんだ。
駅前の電話ボックスで。
4時間遅刻で現れたはるちゃん。
「ごめん、雪で田んぼに落ちちゃって」
「ずっと居たの?」
「うん」
はるちゃんは痛いくらいにきつく、わたしを抱きしめた。
それからバレンタインにチョコ渡して、彼氏いるでしょ?って言われて、はるちゃんのが好き、って。
それからわたしははるちゃんの寮の部屋に入り浸った。
おそろのパジャマ買って、そのまま近くのコンビニ行ったり。
進路決まったら学校フケて、はるちゃんち行って、えっちしてタバコ吸って。
幸せだったな。
あんな日々は、誰にも幸せと思う。
だけどはるちゃんの幸せは、実は難し過ぎてわからないんだ。

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あの、赤い暗闇。
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