第19話 猫revisited5

文字数 493文字

あなたはもう、だめだったのね。
わたしとおんなじ匂いがしたよ。
連れてっちゃいたかった。
すごく、
すごく。
それでもあなた、なけなしのお金を大事に使って、ひとり近くのスーパーまで車を走らせ、キャットフードや日用品を買って来た。
本能ね。
生きていたいんだ。
それでも、あなたちゃんとキャットフード買って来てたのよ?
それをシチュウだ、お刺し身だ、って一緒に食べたの。
わたしは食べる事が出来ないけど、楽しかったな。
幸せ。
わたしは一緒に買い物に行きたがるあなたを諌めるのに難儀した。
だって、子猫の白骨におしゃべりしながら歩いてたら、お巡りさん来ちゃうでしょ。
「デートなんだよ、きみを、みんなに見せて、自慢したい。そりゃあふたりきりここに居て、君は僕だけのものなのは、幸せさ。けど、人間、それだけじゃ満足出来なくて、いつか見失っちゃうのが、嫌なんだ」
わたしが頑なに首をぶんぶん横に振ってると、そのうちあなたは、

見失うとか言って 何か見てたっけ?

って、変な歌を口ずさみながらフラッと出て行く。
この時間だけ、どうしても辛かったな。
わたしが、みんなに、あなたと同じように見えるのなら。
どうしてそうじゃないのかしら?
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