第21話 猫revisited7

文字数 384文字

精神病院。
まいにち、あ、しろは居ないんだ、と思うと涙が溢れた。
そのあとは日が暮れるまで、日が暮れてもひとりベッドで呆けていた。
心神喪失。
放火の罪は免れた。
ここに来る前、三日三晩目を覚まさなかったらしい。
その前の、こちらに来てからたったの一週間。
僕は何もせず、ただあのゴミ捨て場で今みたいに呆けてたそうだ。
シロの骨も燃えてしまった。
水は飲んでいたらしい。
しかし、食わずただ幻影と戯れていた僕はやせ細り、そのうちに脱水をおこして高熱を出した。
それで、寒くて火を点けたようだ。
しろの話は誰にもしなかった。
余計に気違い扱いされるだけ。

それで、ここに書き記す。

出来た、僕の処女作「猫」。
もとを持ってるのは、まみちゃんだけど、引っ越しで捨てちゃったかな?
この作品の1ピースになるように、あの短い、薄暗い世界を、再訪してみた。

それなりな満足感に、目を閉じる。
赤い暗闇は、去っていた。

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